鉄道でアジアの国境を越えよう。「マレー鉄道」で深夜特急の旅へ

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2018/04/23

ゆったりとした時の流れを感じられるとともに、現地の人々との交流も楽しめるということで、最近秘かに注目を集めているのが海外での鉄道旅。かつてバックパッカーのバイブルと言われた沢木耕太郎さんの「深夜特急」でマレー半島縦断の旅に憧れた読者も多いのではないでしょうか?

今回はアジアの旅に詳しいライターのHaruさんに、マレー半島を縦断する人気の路線・マレー鉄道の魅力を大いに語っていただきました。

実は日本からでもチケットが買えるマレー鉄道

シンガポールマレーシアタイの3か国を縦断するマレー鉄道は、東南アジアを旅する方には一度は乗って頂きたい鉄道。最近では停車する駅も増えて観光もたっぷり出来るようになるなど、以前と比べてすっかり様変わりしました。

チケットのほうも、旅行会社を通して買うと手数料なども含めて数万円かかりますが、実はKTM(マレーシア鉄道)のサイトを通じて個人購入することも可能。その場合、シンガポールからマレーシアを通ってバンコクまで6500円程度で済みます。予約サイトは英語表記しかありませんが、頑張って予約してみてくださいね。

列車旅の前にはシンガポールを満喫

今回はシンガポールからタイへ、北へ向かうルートで旅を進めていきましょう。

出発地点のシンガポールは熱帯気候に属している常夏の地。とくに乾季の4月~7月あたりは、温度・湿度ともにピークとなる時季です。

そんなシンガポールといえば、一度は泊まってみたいのが「マリーナ・ベイ・サンズ」57階建ての総合リゾートホテルで、屋上にある宿泊者限定のプールでは、シンガポール市街のパノラマの眺望がカクテルを飲みながら楽しめます。

image by:enginakyurt/Shutterstock.com

また、アジア最大の大きさを誇る観覧車「シンガポール・フライヤー」や、どこか未来的な雰囲気が不思議な植物園「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」など、狭い国土のなかに見どころが点在しています。

時間の許す限りシンガポール観光を楽しんだ後は、いよいよマレー鉄道に乗車です。現在の出発駅は、お隣の国・マレーシアのジョホールバルになります。


ジョホールバルからマレー鉄道に乗車!

シンガポールから約1時間のバスの旅で、マレーシアの第2の都市であるジョホールバルへ。駅には世界中からマレー鉄道に乗って旅をしにきた人がたくさん集まり、列車内も実も国際色豊かな雰囲気で、否が応でも旅情をそそられます。

image by:akids.photo.graphy/Shutterstock.com

ジョホールバルといえばシンガポールとは海峡を挟んですぐ隣で、都市化もずいぶん進んでいるのですが、シンガポールとは全く違うというか、いかにもマレーシアという独特の雰囲気を感じることができます。

マレーシアはイスラム教を国教としている国なので、女性はヒジャブを被っています。特にマレーシアの方々は敬虔なイスラム教徒が多く、物静かで恥ずかしがり屋さんです。列車を見ているヒジャブをしている小さな子供達がとても可愛いです。


乗り換え駅での観光が鉄道旅の醍醐味

ジョホールバルを出た列車は、一路マレーシアの首都・クアラルンプールへと向かいますが、ノンストップで到着するというわけではなく、数回の乗り換えが必要です。

ちなみに終点までは「ジョホールバル→ジェームス→KLセントラル→クアラルンプール→パタンブサール→バンコク」という風に乗り継いでいきます。ちょっと不便な気もしますが、乗り継ぐ先々の駅で観光をしつつ目的地へと向かっていくのが、マレー鉄道で移動する旅のいわば醍醐味なのです。

image by:akids.photo.graphy/Shutterstock.com

クアラルンプールを過ぎて少し経つと、列車はジャングルの中へと突入します。

ここを走るのは夜になることが多いのですが、野生のジャングルを列車で走るというのも、マレー鉄道ならではの貴重な体験。多国籍な車内には、何か食べたり飲んだりしてる人、気持ちよさそうに眠っている人など、それぞれの楽しみ方で過ごしていると思いますが、ここは眠い目をこすって窓の外を覗くのも忘れないでくださいね。

3日間かけて終着駅のバンコクへ

2泊3日の行程でマレー半島を北上する今回の旅。目的地のバンコクが近づいてくると、そこにはシンガポールやマレーシアとはまた違ったアジアが現れます。

タイの首都・バンコクもまた発展目覚ましく、今ではすっかり東南アジアを代表する国際都市に。列車はアーチ状の大屋根を持つ、終着駅のフワランポーン駅の中へと滑り込みます。

image by:Ryan Tang/Unsplash

駅に降り立ち、長距離移動で鈍った身体をほぐしていると、この旅のハイライトシーンも自然と脳裏に思い浮かぶことでしょう。

仏教国であるタイには、オレンジ色の袈裟を着たお坊様や修行僧の方々がたくさん歩いています。いっぽうで街中には、イスラム寺院・中華寺院・ヒンドゥー寺院なども至る所に見られ、一般客も拝観できます。観光気分で楽しむのもいいですが、神聖な場所ということで旅の無事をお礼しつつ、敬虔な気持ちでお祈りしてはいかがでしょうか。

おわりに

シンガポールからマレーシア、そしてタイの首都・バンコクまでの国際列車の旅。国境を超えるたびに、アジアの文化の違いを一番感じられる場所を巡ることが出来ます。

マレー鉄道には世界各地から異人種の方々が乗車しているので、車内でもかけがえのない思い出を作ることができます。皆とてもフレンドリーなので、片言で良いので、たくさんお話をしてお友達になってみてください。最高の笑顔でマレー鉄道での再会を約束して終わる旅になると思います。

  • image by:Ryan Tang/Unsplash
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
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現在は都内の旅行会社で働きつつ、週末をからめた弾丸トラベラーとして世界各国を旅するアラサー女子。

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