水着で混浴。海外の温泉文化は日本とこんなに違う
温泉大国・台湾の入浴スタイル
台湾でも温泉施設がとても身近で、昔から治療や療養のために温泉が利用されてきました。台湾にはおよそ100ヶ所以上の温泉地があり、多くの方が日帰り温泉を楽しんでいます。家族や友達、恋人などと一緒に楽しめるスパのようなイメージですね。
台北市にある新北投(シンベイトウ、Xinbeitou)温泉は、豊富な湯量と異なる泉質を楽しめる温泉地として知られています。台北市の中心地から電車で40分ほどの場所に位置し、和風旅館をはじめとしたリゾートホテルが多数点在しています。
新北投温泉には石川県を代表する温泉旅館「加賀屋」も存在し、台湾の有名温泉地で日本のおもてなしを体験することができるのです。
気になる台湾の入浴スタイルですが、出身の方に話を伺ってみると、台湾では「日式」と呼ばれる裸で入浴する場合と、水着を着用して入浴する場合スタイルがあるのだとか。
裸で入るのは貸切個室風呂や宿泊先の部屋に併設してある室内温泉、男女一緒に入る大浴場や露天風呂では水着で入浴することが一般的です。公共の露天風呂などの近くでは水着も販売されていて、気軽に大人から子どもまで楽しむことができます。もちろん温泉地によっては例外もあります。
例えば、烏来(ウーライ、Wulai)温泉では、日本と同じように裸で入る日式温泉がたくさんある温泉地として知られています。みんなで入る大きな露天風呂では水着の着用が必須となっていますが、温泉街には貸切風呂を1時間単位で楽しめる「湯屋」という施設があります。
このような湯屋では、日本と同じように裸で入浴でき、なかには景色を楽しみながら入れる温泉もあるそうです。
かつて存在した「湯治客」
日本でも湯治客(とうじきゃく)という、湯治のために旅館に長い期間滞在する客がかつて多く存在していました。現在でも長野県の姫川渓谷にある小谷温泉の「山田旅館」のように、湯治客用の料金システムを設けているような宿もあります。
環境省も医学的、科学的に効用が認められる療養泉の泉質を発表していますし、温泉を持つ病院では温泉水を使った水中運動療法なども行われています。
全国には「神戸みなと温泉 蓮」のように、温泉利用型健康増進施設も存在しますね。ですが、基本的に現代の日本人の感覚として、温泉は病気を治すために訪れる場所というよりも、温泉とその周辺の温泉街が持つ独特の旅情を求めて訪れるといった側面の方が強いと思います。
泉質別の効能は、あくまでもうれしいおまけといった感じ。その意味で、風情を味わいに温泉地に滞在するといった感覚も、日本独自の温泉文化の1つなのかもしれませんね。
今回は、ヨーロッパやアジアの温泉事情から、日本の温泉文化との違いを紹介してきました。水着を着用して入浴する文化が多く、日本のように裸で入浴するのは少し珍しいみたいですね。みなさんも海外へ行った際は、日本とは違った文化の温泉を楽しんでみてはいかがでしょうか。
- 参考
- 山村順次著『世界の温泉地』(大明堂)
- ウラディミール・クリチェク著、種村希弘・高木万里子訳『世界温泉文化史』(国文社)
- 徳田耕一著『サハリンカムチャッカの旅』(風媒社)
- Thermes de Spa
- 温泉利用型健康増進施設 – 厚生労働省
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