旅も人生も、もっと楽しく編集できる。

水着で混浴。海外の温泉文化は日本とこんなに違う

坂本 正敬
坂本 正敬
2019/01/23

ヨーロッパで温泉は医療や療養目的がメイン?

イギリスのローマン・バス image by:antb/Shutterstock.com

日本と世界で異なる温泉の違いは、男女で水着を着て泳ぐという点だけではありません。温泉に求める機能や情緒も大きく異なります。

日本の場合は源泉周辺を温泉街として高度に観光地化させ、そこに情緒を伴った宿泊拠点を築き上げています。

銀山温泉 image by:weniliou/Shutterstock.com

数多くの文人が温泉地を愛したように、日本人は温泉地と聞くと、それだけで何か陰影を帯びた風韻や詩心を感じてしまいますよね。川端康成『温泉宿』など、温泉を舞台にした作品も数多く存在します。

しかし世界の温泉地は、若干風情が異なります。日本以外の場合はレジャーあるいは療養地という側面を、より前面に打ち出しているのです。

カムチャッカ半島の温泉 image by:Alexander Piragis/Shutterstock.com

先ほど、ロシアでの温泉浴はピョートル一世がヨーロッパを旅して周り、ロシアに持ち帰ったところから歴史が始まると紹介しました。

世界の温泉分布図を見ても、日本ほどの数ではないもののヨーロッパにも源泉が十分にあります。

特にドイツ、オーストリア、フランス、イタリア、イギリスなど各国では、治療用保養地を作る文化も脈々と育まれてきました。

例えばドイツやオーストリア、フランス、東欧諸国では、健康保険が温泉医療に適用されるのだとか。

<保養に行くのはどんな人種だろうか? まずはいうまでもなく本物の病人たち>

<大昔には当時はおよそ考えられるあらゆる病気に対して効くと見込まれていた>

(どちらも『世界温泉文化史』(国文社)より引用)

とあるように、温泉入浴は医療行為というイメージが、ヨーロッパでは根強いと聞きます。


ベルギーの「Les Thermes de Spa」image by:Luoxi/Shutterstock.com

実際にヨーロッパの有名な温泉地の1つ、ベルギーのスパに取材旅行で立ち寄った経験があります。

その際に見た、同地の有名な温泉「Les Thermes de Spa」は昔ながらの保養施設をより洗練させ、モダンなリゾートホテルにある温水プールといった感じの雰囲気を作って、人々を癒やしていました。

温泉は総じてぬるいです。歯を食いしばって熱いお湯に体を沈め、身動きせずにじっと窓の外の風月を愛でる、どこか内省的な行為と言った感じではまったくありません。

日本人が思わず俳句を詠みたくなるような、余剰余韻のある世界観が、海外の温泉地に必ずしもあるわけでもないのです。

翻訳家/ライター。1979年東京生まれ、埼玉育ち、富山県在住。成城大学文芸学部芸術学科卒。国内外の紙媒体、WEB媒体に日本語と英語で執筆する。 主な訳書に『クールジャパン一般常識』(クールジャパン講師会)。

水着で混浴。海外の温泉文化は日本とこんなに違う
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
TRiP EDiTORの最新情報をお届け
TRiPEDiTORオフィシャルメルマガ登録
TRiP EDiTORの最新記事が水・土で届きます
ついでに読みたい
 富山 ダム湖から復活した、船でしか行けない秘湯「大牧温泉」 ★ 686
 富山 トロッコ電車の始発駅。絶景と温泉を一度に味わう富山「宇奈月温泉」 ★ 19
 富山 交通手段はトロッコ電車のみ。山奥の秘湯「黒薙温泉」 ★ 226
 石川 桟橋から船でチェックイン。イルカも暮らす能登の名湯「和倉温泉」 ★ 162
 国内 「ひとり温泉」が流行中?温泉に対する意識調査、意外な結果が見えてきた ★ 141