左手を使うと失礼に。海外旅行初心者でも行きやすい魅惑の国「マレーシア」
大発展を遂げた街と美しいリゾート、手付かずの自然に歴史ある寺院が残る魅惑の国「マレーシア」。今や東南アジア一注目の旅行先として世界中の観光客が訪れるこの国は、日本人観光客も右肩上がりです。
食事も美味しく、比較的安全で過ごしやすいマレーシアの旅は初めての海外旅行にもぴったり。今回はのんびりとした旅にも、アクティブな旅にも最適なマレーシアを初めて訪れる方向けに、旅に関する情報を詰め込んでご紹介して行きましょう。
目次
まずは気になる「マレーシア」ってどんな国?

マレーシアはタイ南部にある突き出たマレー半島と、海を超えて東側にあるボルネオ島の一部を国土とする国です。ボルネオ島側は東マレーシア、マレー半島側はマレーシア本土と呼ばれることもありますね。マレーシア本土の先にあるのがこちらも大発展を遂げているシンガポールです。
東南アジアの中では裕福で、ビジネスの中心でもあるのが首都「クアラルンプール」。クアラルンプールがあるマレーシア本土の方に国内人口の約80%が暮らしているとされています。
マレーシアは今でもイギリス連邦

マレーシアは昔から日本ととても関係の深い国です。ポルトガル領であった現在のマレーシアはかつて「マラッカ王国」と呼ばれ、ポルトガル領の一部でした。日本にキリスト教を伝来させたあのフランシスコ・ザビエルもこのマラッカ王国を出発して日本を目指したと言われています。
貿易の拠点となるマラッカ王国は、昔のヨーロッパ諸国にとってアジア開拓の拠点となるとても重要な土地でした。そのためポルトガル以外にもオランダ、イギリス、そして日本と統治する国が変わった歴史があります。
マレーシアが独立を果たしたのは1963年と比較的近年のこと。今現在もイギリスの旧植民地からなるイギリス連邦に含まれる国でもあります。
日本からマレーシアに行くには?

まず初めてマレーシアを訪れるならほとんどの人が「クアラルンプール国際空港」に降り立つでしょう。日本からマレーシアへの直行便があるのはこのクアラルンプール国際空港か、東マレーシアのサバ州・コタキナバルにある「コタキナバル国際空港」のどちらかです。
クアラルンプール国際空港には日本航空やANAといった日本の航空会社、マレーシア航空などに加えLCCのエアアジアXが就航しています。このエアアジアXの就航により航空券が手頃な価格になり、気軽に行ける海外の1つとなっています。
現在、クアラルンプール国際空港への直行便は、成田空港、羽田空港、関西国際空港そして新千歳空港から就航していますが、コタキナバル国際空港への直行便はありません。
マレーシアは大きな国ではないので、初めての方はクアラルンプールから入り東マレーシアへ行くルートをおすすめします。
マレーシアは超多民族国家

マレーシアに降り立つと、まず最初にびっくりするのがその人種の多さでしょう。日本のように、国民のほとんどが日本人という国から来ると余計に驚きます。マレーシアは超多民族国家。いろいろなバックグラウンドを持つ人々が、マレーシア人としての誇りを共有しながら同じ土地で暮らしています。
現在はインバウンドの影響もあり、日本の街中でも海外の方を見かけることは珍しくない社会になりましたが、マレーシアはその比ではありません。というよりも、人種の垣根をあまり意識していない人が多いですね。混じり合っていて当たり前、そんな雰囲気の国です。
マレーシアに住む人々のうち、マレー系と呼ばれる人々が全体の約70%を占めています。その次に多いのが中華系マレーシア人で約23%。もう一つがインド系マレーシア人で約7%です。マレーシアにはその他駐在員や海外からの永住者もとても多いので、本当に多数の人種を抱く懐の深い国と言えるでしょう。
人種と同じく宗教も混じり合っている

多数の人種が暮らすマレーシアは宗教も混じり合った社会を構成しています。
マレーシアで一番多いのはイスラム教。マレー人のほとんどがイスラム教徒と言われており、街中にも美しいモスクがたくさんあります。マレー人の割合が約70%と一番多いのでマレーシアの国教はイスラム教とされることが多いですね。
それでも2割の中華系マレーシア人たちは仏教徒であったり、インド系マレーシア人たちはヒンズー教のままの方も多いです。人種に溢れ、宗教の自由も認められているのがマレーシア。とても変わっていますよね。
相手の信仰を重んじて行動しよう

宗教の厳しい戒律とは無縁の人が多い私たち日本人が、マレーシアで一番気をつけなければいけないのが宗教への理解です。私たちには何気ない行動でも、マレーシアの人々にとっては失礼に当たることも。スムーズな旅を楽しむためにも、相手の国のマナーを理解することはとても重要です。
まずイスラム教徒の多いマレーシア国内では意識して右手を使うようにしましょう。イスラム教では左手は不浄とされ、左手で物を渡したりするのはとても失礼に当たります。
相手を人差し指で指差すこともとっても失礼なので絶対にやってはいけません。子供の頭を撫でるのも、日本では悪いことではありませんがマレーシアではこの上なく失礼なことになるので気をつけておきましょう。

戒律の厳しいイスラム教は一日5回のお祈りが義務付けられています。このお祈りの時間は決められており、時間になったら街中にもアザーンというお祈りへの呼びかけが大音量で流れます。敬虔なイスラム教徒の方は何をしていてもこのお祈りを欠かさないので、何か用事がある時でも終わるまで待ちましょう。
私たちが思っている以上に宗教が生活に根付いているマレーシア。相手に合わせた行動を取れるようにしたいものですね。
マレーシアの通貨は日本円でいくら?

さて、相手の国のマナーやそこに住む人々の事情を少し学んだところで次はマレーシア国内の通貨を見ていきましょう。
マレーシアで使われている通貨は「マレーシア・リンギット」。国内ではMYRやRMと表示されています。2025年2月現在、1マレーシア・リンギットは日本円で約34円ほどに当たります。マレーシアの紙幣は100リンギットが一番大きく、50、20、10、5、2、1リンギットと続きます。
マレーシア・リンギットに両替をして初めて紙幣を手にしたら、全ての紙幣に同じ人の肖像画が描かれていることに気が付きます。これは初代国王。色は紙幣の額によって違いますが表のデザインはほぼ同じです。
マレーシアで流通している硬貨は新しい硬貨と古い硬貨が混じり合っているので注意。違うお金じゃない?と思ってしまわないように覚えておきましょう。硬貨で一番大きなものは50セント硬貨です。次いで、20、10、5、1セントと続きます。
クレジットカード払いは普及しているの?

海外旅行の時にとても便利なクレジットカード。マレーシア国内ではどうなのでしょうか。
マレーシアの観光地やホテル、ショッピングモールやタクシーなど、クレジットカードの利用が可能なうえ、電子マネーによる支払い方法も進んでいるようです。とはいえ、屋台、小さな地元の食堂などではまだまだ現金社会が残っているので、いくらか現金は持っておいた方が良いでしょう。
またクレジットカードの二重引き落としやカード読み取りによるスキミングの被害なども出ているので、必ず明細をもらったり、使ったらすぐにスマホに情報が来るように日本で手続きするなど、対策をしておくと安心です。スキミング防止のカードケースなどを持って行くこともおすすめです。
“治安の良い国”のイメージとは一変…マレーシアの治安は?

マレーシアは比較的“治安の良い国”というイメージですよね。確かにクアラルンプールのショッピングモールが立ち並ぶエリアや、観光客が多いエリアは治安は悪くありません。
しかし、それは「昼間であれば」という注意付き。深夜の外出も日本と同じようにそんなにトラブルがないかと言われるとそうではありません。強盗やひったくりなどは発生しています。

また、旅行先では頼りになるタクシーもマレーシアではトラブルの元と言われています。タクシーも流しのものには絶対に乗らず、ホテルで呼んでもらうかアプリを使って呼ぶのがおすすめです。夜に女性一人でタクシーに乗るのもおすすめできません。
マレーシアの治安は決して悪くはありませんが、女性の一人旅なら昼間の観光を中心にするべきですね。遅い時間帯はホテルで明日に備えるようにしましょう。
マレーシアの気候にはどんな服装が過ごしやすい?

マレーシアは一年中気温の高い常夏の国です。四季はなく、年間の平均気温は30度を超える赤道に近い場所にあります。
お昼間は一年中半袖で過ごすことができますが、夜になると気温は25度前後まで下がるので脱ぎ着できる薄手のパーカーなどを持って行きましょう。
暑い国ではありますが、気温が35度を超えることはほとんどありません。日本の夏のようにムシムシとした過ごしにくさはありませんよ。
旅行にいくならいつがベストシーズン?

年間を通して夏が続くマレーシアのベストシーズンは「特にない」これが答えです。いつ行っても大体同じような気候ですし、雨季もあるにはあるものの一日中雨が降り続けることはありません。むしろ雨季の雨が降った後は涼しくなり、過ごしやすいという意見もあるくらいです。
マレーシアでは雨季の雨は「シャワー」と呼ばれ、20~30分降って上がります。折りたたみ傘を持っていたり、シャワーが降り出したら旅行を中断して上がるのを待つことが気にならない方は雨季を避ける必要は特にないと思います。雨季を避けたい方は11~3月までですから注意しましょう。

天候よりも気にするべきは、イスラム教の「ラマダン」と呼ばれる断食の時期と、中国の旧正月の時期です。
ラマダンは1年に1回1カ月間続くイスラム教の断食月。2025年は2月28日~3月29日の期間で行われるようです。イスラム教徒の多いマレーシアではこのラマダンの時期はお店が早く閉まったり、もしくは昼間開いておらず夜になったら開店するなど営業時間が変則的になります。
クアラルンプールでどこも全部閉まっている、なんてことにはなりませんが、人々の暮らしのリズムも変化するため、夜にどこの飲食店へ行っても混雑しているという状態に。
中国の旧正月の時期は中華系のお店が閉まっているので注意しましょう。今年は1月29日~2月12日の期間がお休みになっていましたよ。
初めてのマレーシア旅行ならここに行くべき!
初めてのマレーシア旅行、どこに行くか迷ってしまいますよね。マレーシアはショッピングも料理も文化財も楽しめる何でもアリの国ですから、とにかくアクティブに動き回るのがおすすめです。
クアラルンプール市内を楽しむのはマスト

クアラルンプールを一望できる「ペトロナス・ツインタワー」の展望台へ登ったり、そのペトロナス・ツインタワーの下にある大型ショッピングモールでマレーシアのお土産を探しましょう。
美しいモスクの見学やイスラム美術館で日本では感じられないイスラム教文化を見学したり、チャイナタウンで中華とマレーシアのスパイスが混ざりあったニョニャ料理を味わって夜にはアロー通りでクアラルンプールの活気を肌で感じる刺激的な旅がおすすめです。
クアラルンプール市内は地下鉄が張り巡らされているため、旅で困りがちな移動手段もとても簡単です。
古都「マラッカ」へのショートトリップも外せない

クアラルンプール市内を満喫したら、郊外にも出かけてみては?マレーシアで絶対に見逃せないのがクアラルンプールからバスで2時間ほどのところにある世界遺産「マラッカ」です。
マラッカは1400年前に繁栄したマラッカ王国の面影を残す街。色鮮やかで美しい街並みの中に、博物館やおしゃれなレストラン、カフェが立ち並んでおりクアラルンプールからのショートトリップにはぴったりです。

マラッカではぜひゴージャスな人力車「トライショー」での旅を楽しみましょう。自転車の横にサイドカーを付けた形のトライショーはマラッカの名所へと連れて行ってくれる大事な交通手段。1時間約1,500円~で派手な乗り物での移動と、運転手さんとの相性が良ければツアーガイド的な役割もしてくれます。
ヒンズー教の聖地「バトゥ洞窟」へも行こう

もう一カ所クアラルンプールから行きたいのがヒンズー教の聖地と言われる「バトゥ洞窟」。こちらもクアラルンプールから電車で1時間ほどの郊外にあります。マレーシアのパワースポットの1つですから、女子旅にもおすすめの場所です。
神秘的な鍾乳洞へ辿り着くには200段超えの階段を登りきらなければいけませんが、中には4億年をかけてできた自然の美とヒンズー教のカラフルな像などが混ざりあったとても神秘的でここでしか見られない空間が広がります。宗教の聖地ですから肌の見えない薄手の羽織ものやロングスカートなどで訪れましょう。
マレーシアのインターナショナルな文化を学べる旅を
マレーシアは初めての東南アジア、初めての海外という方にもおすすめの国です。発展して便利でありながら、東南アジアの雑多な雰囲気も残すマレーシアは一度訪れるとまた行きたい国になること間違いありません。ぜひマレーシアを訪れて、その魅力に触れてみましょう!
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