24歳の暑い夜。2019年のあの日、私は「香港」に恋をした

香港の雑多な感じが、どこか懐かしい

image by:編集部

まずは、重要なホテル近隣のコンビニ事情から探る。ホテルの近くにはセブンイレブンがあったので、水分補給に困ることはないだろう。

そしてスマホでGoogleマップが開ける状況を確認し、ホテルの位置を覚えてから散策を始める。

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私の「最初の散策」の基本は、まっすぐな道から進むこと。経験上、知らない道でも異世界に飛ばされない限り、まっすぐに進むだけなら迷子になることはあまりない。

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その国の土地に慣れてきたころに、いろんな道を行ったりしてみると、ひとり旅でも安心して散策しやすいのだ。

そんなこんなで数十分ほど歩いていると、いい加減お腹が減ってくる。食べるものは決めていなかったが、通りがかった飲食店で現地の人らしき男性が美味しそうに麺を食べていたので、いきおいで入店を決意。

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そのお店の看板を見て、店名を読むことができなかった。もちろんメニューも何が書いてあるのかは分からなかったけど、男性が食べていた麺が美味しそうに見えたので、注文してみることに。

乾いた返事をするタイプの店員さんはキッチンへ戻り、料理を担当する人は手際良く麺を茹でていた。

距離感も温度感もわからない異国の人と接していると、食事の提供を待つ時間が日本にいるときより長く感じてしまうのは気のせいだろうか?そんなことを考えていると、すぐに料理が運ばれてきた。いや、早いじゃん。

ワクワクしながら丼を引き寄せる。エビと肉のワンタンがひしめきあい、やっとの隙間から麺がのぞいていた。スープはこぼれるかこぼれないかのギリギリのラインまで入っている。


名前も知らない一品。image by:編集部

陶器のレンゲを使ってスープを飲んでみると、淡白かと思いきや、予想外の深い味わい。

見た目は塩ラーメンのような薄い色味のため、飲む前は「味はするのかな…?」なんて失礼なことを思ってしまったが、冗談抜きで美味しいスープだった。

ネギは太めでシャキシャキ感が残っている。麺は細くて縮れていて、どんなスープにでも合いそうなクセのない味。海老と肉のワンタンが追加されることでかなりのボリュームでやや不安になる。なんといっても、日々「胃が雑魚(食が細い)」ことを自称する私だ。

でも、それは杞憂だった。スープまで全部完飲するのは、かなり久々だった。初めて食べた三田の総帥の一杯ぶりかもしれない。

グルメサイトのレビューを見たわけでもない、お客さんもまばらな適当に入った店で、こんなに美味しいスープを飲めるなんて。きっと街で働く人すべての胃袋を、このレベルの美味しさが満たしているのだろう。

夢中で食べている間に、日が暮れ始めていた。だんだんと、香港で初めての夜が近づいてきている。

結局、あの料理はなんという名前だったのだろうか?

香港で初めての夜をむかえる

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満腹になって気分がよくなった私は、お酒を求めて歩くことにした。ホテルの住所もわかるし、タクシーが通っている場所ならいけるはず、そう思ってバーを探す。

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あのころの香港の街に広がっていたのは、東京で見慣れたはずの煌びやかなネオンサイン。東京とはまた違う、香港のネオンの艶美さ。

この美しさに全身が浸るように味わえるのは、香港以外にないんじゃないか。どこまでも続くネオンサインは、まるで光の海のようだった。

気になるネオンを見上げながら歩いていると、次にまた気になるネオンがでてくる。それが香港の誘惑なのかもしれない。そしてネオンに引き込まれるように、バーへと足を進めた。

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見知らぬ土地のバーに入ると、意外な発見が多くある。

このお店ではクラフトビールをたくさん取りそろえているらしく、瓶のビールを店内の冷蔵庫から自分で取るシステムのようだ。

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香港のビールについてまったくもって知識のないわたしは、店員さんにいわれるがまま、冷蔵庫へ行き、ラベルのデザインが気に入った瓶ビールを手に取った。

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カンフーを彷彿とさせるラベルは、一度見たら忘れられない可愛さ。「少爺ヤングマスター)」の「インペリアルIPA」というらしい。ホップの苦味が強く、IPA好きにはたまらない味わい。

あとあと知ったことだが、香港にはさまざまなブルワリーが点在しており、なかでもこの「ヤングマスター」は香港で最大の醸造所をもつ有名なクラフトビールなのだとか。

そのあと何本かクラフトビールを楽しみ、ほろ酔い気分でお店を後にした。できればほかにも飲みに行きたいところだったけれど、初めての国で深酒は厳禁。散策しながらホテルへ戻ることに。

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人通りの少ないような場所でも、なぜかノスタルジックな気持ちになっていく。煌々と輝くネオンがその気持ちを後押ししているようだった。

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