世界一と評された「ウォルドルフ・アストリア」と大富豪たちの痕跡
歴史に残る大富豪たちの痕跡をたどる
アメリカ史に残る3大富豪といえば、石油王「ジョン・D・ロックフェラー」、鉄鋼王「アンドリュー・カーネギー」、鉄道王「コーネリアス・バンダービルト」。そして、その次に来るのが、毛皮売買&不動産投資で富を築いた「ジョン・ジェイコブ・アスター」でした。マンハッタンに残る、彼らの痕跡をご紹介したいと思います。
ロックフェラーの痕跡は、なんといっても「国連本部」。当時、国連本部を建てる場所を探していたとき、ロックフェラーから「土地を寄付いたします」というオファーが入りました。この申し分ないオファーを、一つ返事で国連は受け入れます。
国連本部には、パスポートを持参して手続きを行えば、誰でも入れます。予約などは必要ありません。館内では、国連本部が建設された経緯と完成していく過程の多くの写真が展示されています。
アンドリュー・カーネギーといえば「カーネギー・ホール」が有名ですが、ニューヨーク市に図書館を造るため、多大なる寄付を行った功労者としても知られています。5アベニューと42ストリートの角に建つ「ニューヨーク・パブリック・ライブラリー(ニューヨーク公共図書館)」は1911年に完成しました。
ボザール様式の館内は、ため息がでるほどの美しさ。壁画や天井絵画はヨーロッパの大教会を彷彿させます。
グランドセントラルターミナルの周囲を取り巻く「オーバーパス」と呼ばれる高架車道。そこを車で登っていくと、「コーネリアス・バンダービルト」の銅像が見えてきます。
この駅の前身にあたるグランドセントラル・デポ(1871年完成)を造るための融資をしたことで、彼の銅像が置かれました。ロビー階にある「ニューヨーク交通博物館」は、ニューヨークの鉄道の歴史を知るための貴重な場となっています。
ジョン・ジェイコブ・アスターの痕跡は地名や現存するホテルに残されています。NYU(ニューヨーク大学)の脇にある地下鉄駅「アスター・プレイス」の上には、その昔、アスターオペラハウスがありました。
駅構内には、石膏で造られたビーバーが置かれています。アスターが富を造るのに利用したビーバーの毛皮にちなんで造られたものです。
『タイタニック』(1997年)の映画に登場する悲劇の大富豪ジョン・ジェイコブ・アスター4世は大のホテル好きでした。彼が建てた、「ウォルドルフ=アストリア」、「セント・レジス」、そして「ニッカーボッカーホテル」は当時の最高級ホテルです。
現在、ウォルドルフ=アストリアはヒルトンホテルズの最高級ブランドとして世界中に広がっています。元祖ウォルドルフ=アストリアは4年間の大改装中で、2021年に再オープンを果たす予定です。
セント・レジスは各フロアーに24時間体制のバトラーを置く最高級ホテル、そしてニューヨークのキング・オブ・ホテルとして君臨してきました。現在、スターウッドホテルズの最高級ブランドとして、世界中に広がっています。
また、ニッカーボッカーホテルは、近年のブティックホテルの流行にともない、2015年にオフィスビルからホテルに戻され、屋上にレストラン&バーを保有する大型高級ブティックホテルとして、絶大な人気を誇っています。
アメリカは寄付で成り立つ国。大富豪が暮らしていたニューヨークには、寄付による多数の公共建造物が建築されました。普段、何気なく利用している多くの場所に、富豪たちの痕跡が残されています。みなさんもニューヨークを訪れた際は、ぜひ訪れてみてくださいね。
- image by:Marco Rubino / Shutterstock.com
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