美味しくないのにナゼ食べる?他県民が驚いた、日本全国の不思議な習慣

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2020/06/20

お墓でご飯を食べる/沖縄県

image by:Shutterstock.com

沖縄の旅行中に、立派な墓地を目にした経験がありませんか?墓地ではなくても、道端に墓石を見かけて、その大きさにびっくりした経験があるかもしれません。

筆者も沖縄の離島を旅していたとき、道沿いに点在する墓石の巨大さに圧倒された経験があります。実はこの小屋くらいあるお墓の大きさ、背景にお墓の前で県民が行う宴会にもあるとご存じでしょうか。

沖縄には旧暦の3月に、「清明祭」といわれる行事が行われます。『広辞苑』(岩波書店)で調べると、

<一族そろって祖先の墓参りをする行事>(『広辞苑』より引用)

とあります。まさにこの一族そろって墓参りをする際に、いろいろ食べ物を広げて、一族で食事を楽しむという文化があるのですね。

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一族が集まるのですから、ちょっとした人数の集団になります。その集まりが屋外で食事を楽しむためには、それなりのスペースがお墓には必要です。この清明祭もあって(もちろん異なる背景も)、沖縄のお墓は大きいと考えられているみたいですね。

田原美和、森山克子、金城須美子、東盛キヨ子著『沖縄の祖先祭祀-清明祭・盆の供物を中心に-』によると、実際に行事を経験している人の割合は少しずつ減ってきているといいます。

しかし、県民の9割が清明祭を知っていて、いまでは若者の文化に合わせてオードブルなどを買って、仏前で広げて食べるといった習慣も現地では見られるみたいですね。

image by:photoAC

筆者が10年ほど前に見た清明祭では、そこかしこの仏前で宴会が開かれており、なかには4世代にわたる大家族が一堂に会して、ピクニック気分で楽しんでいる様子を目にしました。

清明祭が行われる「清明節」は新暦の4月初旬。沖縄のこの時期は夢のような気候が続きます。それを習慣と知らない人から見ると不謹慎に思えるかもしれませんが、このタイミングで一族そろって仏前で行う宴会は大切な交流の場としても機能しており、その空間はとても気持ちが良さそうでした。


このように、日本全国にはユニークな習慣や風習がたくさんあります。

ほかにも、盆踊りで『ダンシングヒーロー』を踊る岐阜県民だとか、親指を立てた握りこぶしの形で、お互いの暮らしている場所を知らせ合う石川県民(能登の人)だとか、その地域特有の習慣や風習はさまざま。

どんどん世界が画一化されていく現代こそ、こうした違いにあえて注目すると、面白いかもしれませんね。

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翻訳家・ライター・編集者。成城大学文芸学部芸術学科卒。富山在住。主な訳書『クールジャパン一般常識』、新著(共著)『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日』。北陸のWebメディア『HOKUROKU』創刊編集長。WebsiteTwitter 

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