暇すぎた女子大生が東北ひとり旅に出たら、いつの間にか人生が大きく変わっていた

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2020/04/25

暇だった。暇とは、時に人を遠くまで連れて行く。遡ることおよそ3年、2017年7月末の蒸し暑い夏。とにかく何もすることのない、ただただ暑いだけの夏だった。

大学4年生の夏休みも中盤に迫ったころ、“そこら辺にいるただの大学生”だった私は、ご多分に漏れず暇だった。することといえば、居酒屋さんのアルバイトか、飲み会。あとは当時お付き合いしていた彼の家でイチャイチャするくらいしかない。

「学生最後の夏休み、こんな感じで良いのかな…」

焦りと諦めが半分ずつくらい混じりあった“あの”感情を、私はもてあそんでいた。きっとこのまま何事もなく夏休みが終わって、卒業して、就職するんだろう。それで良いじゃないか。そう必死で自分に言い聞かせていた。

でも、嫌だった。

昼前に起きてベッドの上でスマホを弄り、SNSで楽しそうにしている同級生たちを見ては激しい嫉妬心で心が傷つく。そんな最後の夏休みは嫌だった。

だから私は、旅に出た。どうせなら、もっともっと遠くへ。同級生たちの幸せの瞬間を切り取ったSNSが、私のもとに届かないくらい遠くへ。

※本記事は現段階でのお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウィルスの国内情報および各施設などの公式発表をご確認ください。

青春18きっぷを片手に、奈良県を飛び出した

image by:藤田真奈

そして2017年8月4日の午前5時48分、私は地元・奈良の生駒駅を出発したのです。4泊分の着替えと少しのお金、そして「青春18きっぷ」を握り締めて。

今回の目的は、東北一周。福島から反時計回りに宮城、岩手、青森、秋田、そして山形へ。なんとなく、できるだけ遠くへ行ってみたかったのです。


時間だけを持て余した暇すぎる大学4年生の私にぴったりな、5日間JR線乗り放題の青春18きっぷ。

鈍行列車を利用して、最初の目的地福島県・郡山駅へは片道およそ15時間、乗り換え14回。一度でも乗り過ごしてしまったり、乗り換えを間違えてしまったら目的地へは辿り着けない、そんなギリギリの旅のスタートです。

image by:藤田真奈

とにかく電車に揺られ続けます。一駅も乗り過ごせないプレッシャーはあったものの、ほとんどが始発から終点まで乗り続けるため、その心配はあまりなく、どちらかというと電車酔いがキツかった。

普段なら一駅でも座りたい派の私ですが、座っていることさえも辛くなり、この時ばかりはあえて立ったりするほど。

image by:藤田真奈

いくら揺られても揺られても、本を読んでも、眠っても、着かない。日が沈み始めたころ、ようやく東京駅を通過しました。

それでも「まだ東京か…」という感覚。地方からの目的地として人気な東京を前にこの感情になるのは、後にも先にもこのときだけだろうなと思います。

でも、少しずつでも、着実に前へ進んでいる感覚はよかった

当時の私のノートに、こうメモが残っていました。まだ何も始まっていない、でも何かがはじまりそうな予感。このころにはもう、同級生のSNSに対する負の感情はなくなっていたのです。

どこまでも続く道に、心揺らされて

image by:藤田真奈

無事に福島に到着し、二日目は岩手県・平泉へ移動。電車から解放され自転車レンタルなんかしちゃって、「最高だ〜」なんていってみたり。すると、一体どこまで続くんだろうっていう道を発見。

本当にどこまでも続いているように思えたので、いったん自転車を脇にとめて、ちょっと立ち止まってみました。

image by:藤田真奈

一人で旅をしていると、“自撮りスキル”が上がるんです。セルフタイマー機能が大活躍。車もしばらく来ないことを確認してから、しばらくボーッと道の真ん中に立ち止まります。すると、え?急に目から涙が…。えっ?

一人で旅をしていると、やっぱり考える時間が増える。若干22歳だった私も、22歳ながらに色々と抱えているもの。いま思い出したら笑っちゃうような、そんなちっちゃなこと。将来のことだって、不安だったんです。

そんな心の奥の声にずっと気付かないフリして過ごしていたのに、こんな何もないただ道だけが真っ直ぐに続く景色なんて見せられたら、ね。

image by:藤田真奈

誰もいない岩手県の田んぼ道でひとしきり涙を流すと、もう大丈夫。きのうみたいに、少しずつでも一歩一歩進めばよいのだから。

ひとまわり強くなった私は、次なる目的地へ向けて、出発しました。

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