さよなら、ありがとう。歴史とともに振り返る、僕たちの「としまえん」

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2020/09/12

海を超えてやって来た「としまえん」のシンボル、「カルーセルエルドラド」

image by:小林繭

絶叫マシーン系に定評のある「としまえん」ですが、昭和から平成を経て令和の時代まで、子どもから大人まですべての人を魅了し続けたのが園内中央に位置するメリーゴーランド「カルーセルエルドラド」です。

1969年にアメリカから日本にやってきた「カルーセルエルドラド」image by:小林繭

この大きなメリーゴーランドは日本最古のものであり、もともとは1907(明治40)年にドイツですべて手彫りの装飾により作られたもの。その後1911(明治44)年にアメリカNYのコニーアイランドの遊園地に移され、1964(昭和39年)年に遊園地が閉園した後「としまえん」が買い取り、1969(昭和44)年、太平洋をわたり遥か日本までやって来たというのが大まかな歴史です。

image by:PR TIMES

24体の馬をはじめ、女神や天使、馬車などが手彫りで彫刻され、美しいアールヌーボ調の瀟洒(しょうしゃ)な装飾が全体を華やかに彩る「エルドラド」。その佇まいの美しさは見惚れるほどで、子どものころは知りませんでしたが、美術品としても大変に価値のあるものなんです。

この機械仕掛けの芸術的乗り物は、2010(平成22)年に100年以上の歴史を持つ世界的に貴重な文化遺産として「機械遺産」の認定を受けています。「としまえん」閉園後もどこかで大切に保管され、またいつの日か私たちの目の前に色褪せない御伽の空間として現れる日が来るのかもしれませんね。

「としまえん」といえば、斬新でパワフル、ユーモアたっぷりな広告

image by:小林繭

全国的に見ると遊園地としてあまり馴染みのない人でも、「としまえん」の広告は知っているという人はいるのではないでしょうか。「史上最低の遊園地。」「祝・景気回復」「プール冷えてます。」など、かなりぶっ飛んだ、または思わずクスリとする広告クリエィティブで毎回世間をアッと驚かせてくれた存在でもありました。

AKB48をもじったTSM(トシマ、年増?)48、水着姿でカルーセルにまたがるサッチー、トシちゃん、テリー伊藤…etc.登場する有名人のセレクトとコピーの組み合わせの妙の絶妙さも「としまえん」の広告ならではで、毎回世間をアッと楽しませてくれました。

image by:小林繭

2020年7月23日から8月31日の期間に「としまえん」では、その歴史や筆跡をまとめた特別企画展示「94年の歴史展」が開かれ、特設会場にはこれまでの「としまえん」の歴史を物語るさまざまな資料が展示され、連日多くの人々でにぎわいました。

歴代の広告を集めた広告コーナーには懐かしの広告が大集合し、そのオリジナリティー豊かな広告センスにあらためてクスリとさせられたのです。

image by:小林繭
image by:小林繭


エルドラドというネーミングや、アトラクションを彩る海賊やアラジンと魔法のランプに出てきそうな人形たち、園内に点在するカラフルな装飾のすべてが、当時の子どもたちにとっては本当に異国の夢の国をのぞいているような、ワクワクとキラキラにあふれた空間だったのです。

閉園前、私が久しぶりに訪れた「としまえん」は、自分の記憶にあったよりずっとこぢんまりとした空間でした。

しかし、あらためてその時代に遊園地という娯楽があったことが、どれだけ人々に夢を与えてくれたのかと思わずにはいられませんでした。

image by:小林繭

この夏、それぞれがそれぞれの思い出を胸に、最後の時間を過ごした「としまえん」。私たちにとって、唯一無二の遊園地であったことは間違いありません。

ありがとう、「としまえん」!!

  • としまえん(豊島園)
  • 東京都練馬区向山3-25-1
  • 豊島園
  • 2020年8月31日をもって閉園
  • 公式サイト
  • ※現「としまえん」一部敷地が「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 -メイキング・オブ ハリー・ポッター」として2023年前半にオープン予定です。
  • image by:小林繭
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
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東京生まれ、湘南生息中のフリー編集ライター。インテリア、旅モノ、湘南情報を中心にお仕事しています。All About沖縄ガイド。目下、踊れる編集ライター目指し趣味のフラメンコに取り組む日々。趣味は温泉。

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