電車でカタコト。あの町この町~京丹後市「峰山町」を歩く
峰山で芋焼酎?
さて神社を出てまずは右へ。新しい家と古い家が交錯する町並みを見ながら歩くと、なにやら趣ある建物が。お土産を売っているのかな?とのぞくと看板に「いもにゃん」の文字。早速、入ってみました。
こちらは京丹後市内の清酒蔵5蔵の代表者個人により創立された芋焼酎の「丹後蔵」。2006年より製造しておられます。
その焼酎の名が「いもにゃん」なのですね。猫のラベルがかわいい~!いもにゃんは「ライトな芋焼酎(22度)」と「ちょっと濃いめの香りと味(32度)」の2種類。そのほかにもいろいろな銘柄がありましたよ。
でも、峰山町でなぜ芋焼酎?と思ったら京丹後市はサツマイモの生産量がとても多いのだそうです。こちらで使うサツマイモは、栗のようなホクホクとした食感があり、貯蔵すると甘みが増す地元産の「京かんしょ」を、金刀比羅神社のご神山から湧き出る水で仕込んでいるのだそう。お店では猫グッズや酒器も販売されているので焼酎とセットにしてお土産にするのもよさそうです。
しばらく歩いてみると峰山の町は碁盤の目のように道がつくられている町ということが分かってきたので、本通からちょっと外れてみました。そこで見つけたのがレトロな看板がかわいい「御旅市場」。その距離、52.4m。日本一短いアーケード商店街なんですって!
ちなみに京丹後七姫の「羽衣天女」は峰山町の磯砂山に舞い降りたのだとか。だから看板に羽衣天女が描かれているのかしら。
江戸時代創業の、ちりめん問屋へ
元の本通に戻ると格子窓の美しい立派な建物があらわれました。こちらは1830(天保元)年創業、今年190周年を迎える峰山町で最も古い、ちりめんの製造販売商の「吉村商店」。現在は7代目となる吉村隆介さんが営んでおられます。
創業時の建物は北丹後地震で焼失してしまいましたが、現在の社屋は1929(昭和4)年に京都市から招いた宮大工により建てられたもの。
白生地がたくさん~! こうやって人の目で一反ずつ検反されるんですね。
特別にお蔵も見せていただいたのですが、白生地が詰まれたお蔵は、着物好きなかたには夢のような世界!こちらは自社デザインの地紋を織り込んだ白生地だけでなく、他社の白生地も仕入れて販売されているので、お蔵にはこんな地紋見たことがない!というものがたくさん。
そのほか、滋賀県の浜ちりめんや石川県の牛首紬など全国の生地も仕入れているので「みなさん吉村に行ったらどんな生地でもあるといってくださいます」と案内くださった金森さん。もちろん一般の人もお店に訪れて白生地を買ったり好みの色に染めてもらえます。
また、オリジナルでデザインしたアマビエを織り出した丹後ちりめんのマスクとケースも販売中。正絹なのでお肌にも優しく、色の展開が豊富なのも魅力。化粧箱に入れていただくこともできるので、特別な贈り物にもおすすめですよ。
そして、こちらは社屋だけでなく金刀比羅神社の近くの山の上に別荘も所有しておられます。ことに4代目の吉村伊助氏は「縮緬王(ちりめんおう)」とうたわれたほどの大事業家で、伊助氏が1919(大正8)年に建てた別荘が、この桜山荘。
もう、素晴らしいんです!建物もさることながら広い庭からは大江山などが見渡せ、当時の隆盛ぶりがうかがえます。桜山荘と社屋である吉村家住宅は日本遺産「300 年を紡ぐ絹が織り成す丹後ちりめん回廊」の構成文化財に認定されています。