電車でカタコト。あの町この町~京丹後市「峰山町」を歩く

Array
2020/12/02

近代日本の名建築を訪ねる

写真が斜め!坂の途中にあるのが分かります

吉村商店を出て、さらに歩くとモダンな建物の峰山小学校に到着しました。北丹後地震により校舎が倒壊した後、1929(昭和4)年に鉄筋コンクリート造で再建されました。窓のアーチが素敵です。

小学校の向かい側の小山には丹後大震災の記憶を後世に伝えるため、1929(昭和4)年に建てられた「丹後震災記念館」があります。こちらの建物も素晴らしいとウワサに聞いていたので一度、訪れてみたかったのです。

設計は京都府庁旧本館の建築にも携わった京都府技師・一井九平(いちいくへい)氏。鉄筋コンクリート造で正面のポーチと2階窓のアーチが印象的な建物。なんだか峰山小学校と似ているなと思ったら、同じ一井氏の設計でした。

ここから峰山の町並みが一望できます

建物は日本建築学会の「近代日本の名建築」に、また京都府指定文化財になっていますが、現在は残念ながら立ち入り禁止になっています。入ってみたかったな~。

ヨーロッパやアジアでも評価の高い老舗醤油蔵へ

再び町をぶらぶら歩きながら、今度は1912(大正元)年創業の「小野甚味噌醤油醸造」へうかがいました。元は別の場所に店を構えていたのですが、醸造に適した水を求めて戦後、金刀比羅神社と同じ水脈の地下水が湧く現在の地へ移転されたのだそうです。

店内には醤油だけでなくドレッシングやポン酢などさまざまな商品が並んでいます

専務さんにうかがうと「かつて峰山町には製糸工場や機織工場もたくさんあり、うちはその寮にも醤油や味噌を卸していました。そのころ、丹後の人たちが峰山町に行くことを“町に行く”といったぐらい賑やかで、特に今、京都銀行がある十字路の辺りには旅館や飲食店や呉服店、袋物屋さんなどさまざまなお店があり、それは活気がありましたよ」とのこと。ほかにも往時のようすをお話しくださいました。

こちらの魅力は丹後産大豆を使い古式天然醸造で作られる醤油「甚左衛門」だけでなく、数々の賞を受賞し、国内外のレストランのシェフたちにも絶大な人気をほこる京丹後産のフルーツガーリック(黒にんにく)を使った「黒にんにくドレッシング」、紀州産の南高梅を使った「うめドレ」などのドレッシングに、徳島産の実生の柚子の果汁と琴引き浜の海水塩で造った「琴引の塩ぽん」など数種類のポン酢にツユ、ふりかけ、漬物、糀製品と、とにかく商品の種類が多いこと。

気になった商品の試食もできます

「うちの特徴はできるだけ天然ものと地元の食材を使うことです」と専務さん。どれもおいしそうなので、迷ったら試食をお願いするのが、おすすめです。

スタッフさんにそれぞれオススメの品をご紹介いただきました。ちなみに私は「甚左衛門」と「琴引の塩ぽんず」を購入いたしました。


かつての花街を歩く

小野甚さんを出て本通に戻ろうとすると、ちょうど金刀比羅神社の横あたりに風情のあるエリアが。この辺りがかつての花街・琴平新地なんですね。1988(昭和63)年ごろまでは置屋があり、芸妓さんがおられたのだとか。

今は飲み屋さんや飲食店が立ち並んでいます。芸妓さんや旦那衆が往来し、ガチャ万景気に沸いた華やかなりしころの雰囲気に思いを馳せながら歩いてみました。

織物工場を訪ねて

そして峰山の町を通る度に気になっていたのが古い小学校のような木造建築。先ほど、吉村商店を訪れたときに金森さんにうかがったら、こちらは1954(昭和29)年に吉村商店から独立した吉村機業株式会社の建物なのだそうで、交渉してくださり見学させていただけることになりました。

丹後ちりめんの最盛期、吉村機業株式会社では反物を織る人をはじめさまざまな工員さんが200~300名もおられたのだとか!この小学校のような建物は工員さんかたの社員寮だったそうです。

門を入ると奥には通称「のこぎり屋根」の旧織物工場が。瓦が乗っている立派な建物です。

現在、稼働している工場は京丹後市役所の近くにあるそうで、こちらも特別に見せていただくことができました。

工場の前に立つだけで中からジャガード機のガチャン、ガチャンという大きな音が聞こえてきます。最盛期は、このガチャンという音1回で万単位、儲かったということですよね。すごいことだ~。

美しい光沢のある生地が降りあがっていきます

丹後ちりめんで栄えた峰山の町。まだまだ訪れていない素敵なスポットがあるので、ぜひ、ぶらぶら歩いてみてくださいね。

■■INFORMATION■■

金刀比羅神社

住所:京都府京丹後市峰山町泉1165-2
TEL:0772-62-0225
授与所:8:00ごろ~18:00ごろ(季節で変動あり)

丹後蔵

住所:京都府京丹後市峰山町泉17
TEL:0772-62-0151
営業時間:9:00~16:30
定休日:土日/祝日(イベント開催は営業)

吉村商店 峰山支店 

住所:京都府京丹後市峰山町浪花17
TEL:0772-62-1100
営業時間:9:00~17:00
定休日:土・日/祝日

小野甚味噌醤油醸造 

住所:京都府京丹後市峰山町杉谷300
TEL:0772-62-0476
営業時間:9:00~17:30
定休日:日曜

  • source:KYOTO SIDE
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
いま読まれてます

京都をすみずみまで、歩いて食べて見て体験!
「KYOTO SIDE」は、観光、グルメ、イベント情報など、まだまだ知られざる京都府の魅力や情報を発信し共有していく地域情報発信WEBサイトです。

WebSite

エアトリ 100%、ピュアです。初体験が詰まった「ニュージーランド旅」が最高な理由
電車でカタコト。あの町この町~京丹後市「峰山町」を歩く
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
TRiP EDiTORの最新情報をお届け
TRiPEDiTORオフィシャルメルマガ登録
TRiP EDiTORの最新記事が水・土で届きます