成功した街・ポートランドが、有田川町のまちづくりに関わり始めたわけ
ポートランドと有田川はどうやって繋がったのか
このプロジェクトの活動内容を知れば知るほど「どうやってポートランドと繋がったの?」とさらに不思議に思えることでしょう。 人口も文化も全く異なるこの2つの地域が共通しているのは、住民を主人公に官民一体となって地方創生をという方向性です。そのはじまりは意外にも「みかん」にありました。
2012年秋「ねこにみかん」という映画が撮影されました。 みかんを題材の一つとした映画だったため、舞台として選ばれたのが有田川。 その監督が有井さんの知人だったことから、資金集めのサポートをすることになりました。 有田川の企業家たちに会って協力者を募るうちに、有井さんは有田川に住む地域住人の魅力に気付きました。
こんな未来をこの地域で一緒につくりませんかと説明を重ねるうちに「そんなことがうちのまちでできるなら一緒にやろうじゃないか」と賛同して応援してくれるひとたちが続々と現れはじめたのです。新しい未来の挑戦に対して、センス良く前向きに応じる彼らの姿に、有井さんはこの地域の素晴らしさを感じました。
ちょうど同時期、有井さんは個人的にポートランドのまちづくりに関心を持ち、東京で開催されたポートランド市開発局の山崎 満広(やまざき みちひろ)さんが登壇されるイベントに参加していました。 そこでの出逢いをきっかけに、有井さんと山崎さんは意気投合し、縁が続いていきます。
何度か再会するなかで、山崎さんから今年の春「次をラストチャンスとして、日本のどこかの地方創生に関わりたいと思っているんだ。 どこが良いと思う?」と相談を受け、これはぜひ地元和歌山県のどこかでと思案したそうです。 その時、有井さんの頭に浮かんだのは、有田川に住むあの日の彼らの顔でした。
地域のひとたちが大切に育てたみかんがはじまりの縁を運び、今回のプロジェクトへと結びつきました。
有田川の未来が、日本と世界の未来に繋がる
縁がはじまりだとしてもなぜ大都市ポートランドが、有田川という小さな地域に着手することを決めたのか? と一見不思議に思えるかもしれません。 しかし、有井さんや山崎さんをはじめとするプロジェクトメンバーが変えようとしているのは、有田川の未来だけではないのです。
有田川という消滅可能地域として叫ばれるまちで「民間発信で官民一体となり地方創生を行う」という新たな取り組みが実現すれば、国内の消滅可能地域を救う一つの解決策を提案することができるようになります。 さらに、他の先進国も恐らく今後同様の課題を抱えると想定すると、世界各国の類似問題に対して新たな打ち手を提案することができるようになります。 有井さんや山崎さんは、その社会的インパクトを見据え、有田川を起点に新たな事例を実現しようとしているのです。
小さく見える一歩でも、きっとどこかに繋がっていくもの。 自分の地元の魅力って何だろう?こんな取り組みをはじめたらもっと面白くなるかも? まずは、そんな会話を交わすところからでも構いません。
「誰か」じゃなくて「自分」から、「いつか」じゃなくて「今」から、できることをはじめてみませんか?
さあ一緒に、未来を変えにいきましょう。
前田 有佳利(だり)
ゲストハウス紹介サイトFootPrints編集長。起点分析家のフリーライター兼イベントデザイナー。最高の仲間×旨い飯×心地よい音楽を愛でる和歌山生まれの86世代。greenz.jp、京都物語商店、テントゥーワン税理士法人広報部などで執筆。ゲストハウスに関するイベントを複数企画。現在の拠点は、和歌山と京都。”世間を狭く世界観を広く” http://footprints-note.com
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