河合優実、「不適切にもほどがある!」大ブレイク後も「編み物にハマって家で12時間」

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2024/06/05

ドラマ「不適切にもほどがある!」で気になっていた方も多いはず。セーラー服に聖子ちゃんカット、反抗期でスケバンな女子高生を好演しお茶の間を釘付けにした女優・河合優実の最新映画『あんのこと』が6月7日(金)より公開。現在大ブレイク中、各界からオファーが殺到しているという彼女の素顔を迫るべく、TRiP EDiTORが直撃取材してきました!

image by:能美潤一郎

ドラマ「不適切にもほどがある!」で大ブレイク中の23歳

第一話から「うっせぇんだよ!このクソジジイ!」

今年の1月クールに放送された宮藤官九郎脚本のドラマ「不適切にもほどがある!」で演じた昭和の不良娘、純子のツンデレ具合がたまらなく魅力的で、お茶の間を瞬く間に魅了した河合優実。

2019年にデビューして以降、数々の新人映画賞を獲得するなど、すぐに頭角を現した逸材。映画を中心に活躍してきたが、23年はNHK BSで連ドラに初主演。そして「不適切にもほどがある!」、通称「ふてほど」で民放GP帯の連ドラに初めてレギュラー出演し、一躍スターダムへ。

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山口百恵に似てるって言っちゃダメですか?

ドラマ「ふてほど」では初回放送時から「令和の山口百恵ちゃん?」「いや中森明菜にも似てる」「昭和顔ハンパない」「貫禄があるにもほどがある」とSNSを中心に話題沸騰。現在放送中の「RoOT/ルート」や藤本タツキ原作のマンガ『ルックバック』の劇場版アニメの声優、そして映画『ナミビアの砂漠』(2024年公開予定)が5月14日から開催する第77回カンヌ国際映画祭の監督週間へ出品されることが決定するなど、映画やドラマや声優に各方面からオファーが殺到しているという、まさに今、最旬の俳優です。

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そんな河合優実の最新映画は、『SRサイタマノラッパー』シリーズの入江悠監督が「少女の壮絶な人生を綴った新聞記事」を基に描く衝撃の人間ドラマ『あんのこと』。

小学4年生で不登校、12歳の時に母親の紹介で身体を売り、21歳で薬物の常習犯という少女・香川杏。実在した人物をモデルとする難役に臨んだ際の苦悩や葛藤、作品と役への真摯な思い、共演者とのほのぼのとしたやりとりなど、さっそく撮影秘話を聞いてきました。

機能不全の家庭に生まれた少女の過酷な人生

(C)2023『あんのこと』製作委員会

──社会的弱者に焦点を当てた社会派ドラマということですが、出演が決まったときや脚本から受けた印象をお聞かせください。

監督の入江さんが覚悟を持って書いた“気”を感じました。私自身も強い気持ちで大切に取り組まなければと思いました。


──それはモデルになった方が実在するからですか?

はい。同じ人間で命を扱っている点では他の役も同じですが、数年前まで一緒に生きていた人を思うととても答えを出せないような問いが多かったです。

──その中でどうやって役を立ち上げていきましたか?

まず脚本を読んで想像し、その後、基になった記事を書かれた記者の方と長時間話しました。モデルとなったハナさん(仮名)についての情報をできるだけ聞かせてもらおうと思って。 

──どんなことを感じましたか?

ハナさんの人生を再現するのは違うのかなと思いました。入江監督も別の人として一度切り離す必要があると言ってくれて、私もどこかで離れなきゃいけないなと思いましたね。

──香川杏として生きるってことですね。

はい、記者の方から聞いたことをベースに、香川杏という役として捉えました。心の中にハナさんがいますが、香川杏という人として生きるのは、どういうことなのかって考え続けました。

──それはクランクインしてからも?

そうですね。クランクインしてからの方が杏として生きることに集中できたかもしれないです。

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──香川杏は、どういう女の子だと思いましたか?

一言では難しいですが前進する力が強い子だと思いました。同じ状況なら私にはできないくらい。最初のきっかけは刑事の多々羅や記者の桐野との出会いですが、自分の意志を持って切り開いていける女の子です。

──彼女自身ずっと変わりたいと思っていたのでしょうか。

どうなんだろう。いろいろ考えるんですけど、潜在的にはあったと思います。ただ、意識の上には出てこないというか、変わりたいと思う余裕もないぐらい薬物中心の生活だったんではないかと思います。

──毎日生きるだけで精一杯って感じですもんね。

嫌だな、痛いな、辛いなって思う瞬間はあったのかもしれないけど、それ以外の社会を知らないというか、家族と売人と自分が体を売っていた人しか周りにいなかったんですよね。

──撮影中、杏とどのような関係を築いていましたか?

毎朝挨拶していました。心の中にハナさんと杏がいると思って、口に出さずに喋りかけてるみたいな感じで。『今日も行ってきます。よろしくお願いします』って。もちろん答えがあるわけではないんですけどね。

──答えがなくても、話かけずにはいられない感じですか?

そうですね。答えはないけど映画にしていいのかなっていう迷いがあったからこそ、こちらから一方的にでも祈ることしかできないなと思って。毎朝のルーティンとして挨拶していたような感覚です。

──河合さんの誠実さを感じます。

起きたことを世の中に伝えるとか残してるっていう点では、記者の方が新聞で記事にしたことと一緒なので、それに尽きるじゃないかっていう気持ちもあったんです。でも映画は記事やニュースよりも長く記憶に残るかもしれませんし、映画を観た人が杏のことを忘れなかったら、それはすごく意味があることだなって思います。

──俳優という仕事だからできることですね。

高校の同級生が出版社で編集の仕事をしているのですが『この映画は絶対届けなきゃいけないと思った』って言ってくれたんです。すごくシンプルな言葉だったんですけど、胸に刺さりました。

image by:能美潤一郎

共演者のこと、聞いちゃダメですか?

──杏を救おうとする刑事・多々羅を演じる佐藤二朗さん、ジャーナリストの桐野を演じる稲垣吾郎さんとのシーンが多かったですね。どんなやりとりをしましたか?

役についての話は特にしていないですね。日々楽しく現場で話していましたが、役やシーンの話はあまりしなかったです。でも、佐藤さんや稲垣さんが監督と話している姿は見ていました。

(C)2023『あんのこと』製作委員会

──重いテーマの作品ですが、みなさんと楽しい瞬間はあったということですね。

和気あいあいとした現場でした。佐藤さんも稲垣さんも優しかったです。

──佐藤さんが河合さんとの高架下のシーンを思い出深いと語っていますね。撮影前に河合さんから手を握られて、気合が入ったと。

その時点の自分にとってすごく大切なシーンで感情的だったんですよね。自分一人でもやれるかもしれないけど、佐藤さんのエネルギーをもらいたいって思って。それで『すいません。握手してもらっていいですか』とお願いしました。佐藤さんはびっくりしていましたが、すぐに気持ちを汲んでくれて、共闘してくれました。

──『あんのこと』は、「不適切にもほどがある」の直後の作品となります。「ふてほど」は河合さんのキャリアの中でも大きいんじゃないかと思いますが、この作品の前後で何か変わりましたか?

本当にたくさんの方に観ていただいたので、作品がヒットするってこういうことなんだなって実感しました。どんなお仕事に行っても『観てます』って言ってくれる人がたくさんいました。映画祭などに行ったときにも思うことなんですけど、自分が出てるものがみなさんの元に届いてるんだなって実感できることって素晴らしい。『あんのこと』やこのあとの作品含めて、自分が注目してもらったことで、作品にいい風が吹いていきそうで嬉しいです。

image by:能美潤一郎
image by:能美潤一郎

プライベートな話、聞いちゃダメですか?

──ここからは河合さん本人のことを少し聞かせてください。演じた杏は多々羅、桐野と行動を共にすることで外に出る機会が増えて、世界を広げていきます。河合さんは、外に出るタイプ?もしくはインドア派ですか?

根はものすごくインドアだと思います(笑)。編み物にハマっているときは、12時間以上でも家にこもってやるようなタイプです(笑)。

──それはすごい!(笑)。最近のお休みはどんなことをされてるのですか?

最近のお休みは、舞台を見に行きました。観劇行ったり、予定があれば外に出ます。私は予定がないとずっと家に居ちゃうタイプだって自分で分かっているし、それを変えたい気持ちもあるので、ざと予定を作って外に出る日が多いです。

──では家にいると何をしてるのですか?

えー、何してるんだろう(笑)。最近は料理で凝ったものを作ったりしてますよ。最近、パスタ作りました。あ、全然凝ってないんですけど(笑)。

──(笑)。何パスタですか?

アラビアータです。私のパスタはめっちゃめちゃ美味しいです(笑)。

──(笑)。今行ってみたい場所、憧れの場所は?

実はキャンプに興味があります。道具を買うのがちょっと大変そうなので(笑)、誰かに連れていってもらいたいです。人頼みですけど、いつかキャンプに行ってみたいです。

image by:能美潤一郎

──その他に行きたい場所はありますか? 旅行とかで。

旅行は好きです。数年前ですが、沖縄旅行が最高でした。

──どんな旅でしたか?

竹富島に行ったんですけど、ここはすごかったです、ホテルと集落しかない別世界でした。ほとんどの時間、海を見てのんびり過ごしていました。またそういう旅したいですね。今度は仕事なんですけど、カンヌ映画祭に行けるので、今はそれがすごく楽しみです。

──カンヌでやりたいことは?

散歩です。とにかく街を歩いて、街のことを知りたいですね。街を歩いて暮らしてる人たちを見たいです。

インタビュー・文/杉嶋未来
撮影/能美潤一郎
スタイリスト/杉本学子(WHITNEY)
ヘアメイク/上川タカエ(mod’s hair)

image by:能美潤一郎

かわい・ゆうみ 2000年12月19日生まれ、東京都出身。2019年デビュー。2021年出演『サマーフィルムにのって』『由宇子の天秤』での演技が高く評価され、第43回ヨコハマ映画祭<最優秀新人賞>、第35回高崎映画祭<最優秀新人俳優賞>、第95回キネマ旬報ベスト・テン<新人女優賞>、第64回ブルーリボン賞<新人賞>、2021年度全国映連賞<女優賞>を受賞。2022年は『愛なのに』、『女子高生に殺されたい』、『PLAN75』をはじめ計8本もの映画に出演し、第35回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞<新人賞>を受賞。その他の出演作に、『ちょっと思い出しただけ』、『冬薔薇』、『百花』、『線は、僕を描く』、『ある男』(22)、『少女は卒業しない』、『ひとりぼっちじゃない』(23)、『四月になれば彼女は』(24)など。1月クールのTBSドラマ「不適切にもほどがある!」で注目を集め、4月スタートの「RoOT/ ルート」(テレビ東京ほか)で地上波ドラマ初主演を務める。公開待機作は、主演を務める『ナミビアの砂漠』。(2024年公開予定)。

information
監督・脚本:入江悠
出演:河合優実 佐藤二朗 稲垣吾郎 河井青葉 広岡由里子 早見あかり
配給:キノフィルムズ
6月7日(金)より新宿武蔵野館、丸の内TOEI、池袋シネマ・ロサほか全国ロードショー

(C) 2023『あんのこと』製作委員会

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映画、ドラマ、舞台のインタビューをメインに、年間150人以上の俳優を取材するライター。「InRed」「ココハナ」の連載のほか、ファッション誌「SPUR」や「SPRiNG」「GLOW」、劇場用パンフレットなど多くの媒体で主に俳優インタビュー、レビュー記事を執筆。著書に『ぜんぶ! 海外ドラマ』がある。プライベートでは、キャンプ熱が再来し、アウトドアグッズを物色するのが楽しみの一つ。

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