台風で飛行機が欠航しそう…「空の便」のトラブルで知っておいたほうがいいこと
移動にトラブルはつきもの。特に飛行機は、天候や災害、また機材故障などで、運航に影響が出ることがしばしばあります。特に、天候においては、夏~秋の台風、冬の大雪以外にここ数年、夏のゲリラ雷雨での「欠航」や「大幅遅延」なども相次いでいます。
飛行機の欠航などにいざ遭遇すると、なかなか大変です。旅行のスケジュールで大幅変更を余儀なくされ、臨時出費が大きくかさむことも。一方で、「飛行機が欠航しそうだな」といったことがある程度予測できる、早めに対策するとその際のダメージが軽減できる場合も、実は多々あるのです。
天候が理由での欠航、「台風」「大雪」は予測可能
飛行機が欠航しやすい、大幅に遅延しやすい“パターン”がいくつか存在します。まずは「天候」が理由の場合です。
夏から秋にかけて「台風」がよく発生します。台風は、日本のはるか南で発生して北へ向かうため、天気予報で台風の動きが数日前から予測できます。つまり、自分が旅行しそうな時期に台風に遭遇しそうな事態は、あらかじめわかります。冬の「大雪」も同様です。
搭乗予定の便が影響を受けそうな場合、航空会社の公式サイトにある「運航情報」などのページに、数日前から影響を受ける旨の文言が掲載されます。
その次に、影響が受けそうな便の航空券について「特別取り扱い」となります。これに該当すれば、本来はキャンセルや変更が不可の運賃もすべて「手数料無料」に。天気予報などをマメにチェックしつつ、旅行のスケジュール変更に先に備えることができるわけです。
最近多い「ゲリラ雷雨」「地震」などの災害は予測が難しい
一方、同じ天候でも「ゲリラ雷雨」は、台風や大雪などと少し異なります。夕立に近いため直前にしか分からず、数日前の予測がほぼ不可能だからです。
激しい雷が空港を直撃する事態となると、地上作業が止まり、飛行機の発着が止まるため、後続の便に影響します。台風だと1日ほど止まる一方、ゲリラ雷雨の場合は1、2時間と短め。
しかし、羽田空港のような絶え間なく発着する過密空港だと、少しでも作業が止まると大変な事態となります。最悪の場合、目的地の空港で定められた運用時間内に到着できないため、欠航ということも。
急に起きるトラブルでは、「地震」も同様です。これもまったく予測不可能。たとえ小さな地震でも、滑走路の点検で発着がしばらく止まり、出発が遅延することもあります。
飛行機が「故障」「不具合」での欠航は“補償”が異なる
また、「機材整備」を理由に、欠航や大幅遅延が起こる場合も。大勢の客を乗せて空を飛ぶ飛行機は、わずかな故障や不具合などが大事故につながらないとも限らないため、いかに点検・整備が念入りであっても、まだ新しい機材であっても、無理に飛ばすことはしません。
この欠航や遅れは、出発直前に判明することが多め。飛行機に乗り込んでいざ出発という段階や、いったん出発した後に滑走路上でUターンする、離陸後に判明して出発地の空港へ戻ることもあります。こればかりは安全最優先で致し方ありません。
機材が理由の欠航や大幅遅延の場合、天候と違い、航空会社の責任です。補償内容も、天候とは異なります。
台風一過からの「機材繰り」「乗員繰り」での欠航に注意
天候が回復した後も「機材繰り」「乗員繰り」などで欠航することがあります。飛行機は、車の代車のように、代わりの機体を簡単に手配することはほぼ不可能。1つの便が欠航すると、その目的地だった空港からの折り返し便、その先の行き先の便などにも影響が出るわけです。これらの欠航理由が「機材繰り」となります。
一方、飛行機に乗務する最低人数も決められています。欠航が続出すると乗員のやりくりも大変となります。また、乗員の急病で、通常、代替の乗員は「スタンバイ」として用意されているものの、それでも足らない時は、やむを得ず欠航になってしまいます。
さらに、フランスやドイツなどでは「ストライキ」による欠航も起こります。これもストライキの実施が数日前に予告され、便の変更やキャンセルなどが無料でできるようになります。
「バードストライク」で欠航となってしまう場合もある
空を飛ぶ飛行機ならではのトラブルとして「バードストライク」があります。その名の通り、鳥が飛行機にぶつかることです。
バードストライクだけで、その後の運航に大きな影響が出るとは限りません。しかし、整備士による点検が基本必要になります。
羽田や福岡といった大きめの空港であれば、整備士が常駐しており、バードストライクが起きた機体をすぐチェックし、問題なければそのまま運航を続けます。しかし、地方の小さな空港では整備士が常駐していないこともあります。
そうなると、大きめの空港から「陸路」で整備士が駆けつけることになります。当然ながら整備士の到着までに時間がかかり、それが夜だと、空港の運用時間の問題が重なり、その日の便は欠航せざるを得ません。これも急な出来事なので、予測不可能です。
欠航や大幅遅延に備える対策、EUでは別の補償も
台風や大雪といった天候で欠航しそうな場合、数日前から予測できます。具体的には「旅行のスケジュールを早めに切り上げる」「陸路など別の交通機関での代替ルートを調べておく」など、もし欠航しなくても準備しておくことはとても大事です。
一方、ゲリラ雷雨、地震などの災害など予測不可能な事態になっても、できる限り、冷静でいること。テレビやインターネットなど、正しい情報の収集を怠らないようにしましょう。
欠航になった際の航空会社の対応は、台風などの「自然事由」と、機材繰りなどの「航空会社都合」では異なります。その日のうちに帰宅できないために航空会社からホテルを無料で提供されたり自宅までのタクシー代が出たり、便の振替が別の会社でも可能だったりします。欠航の理由も、実はとても大事なのです。
なお、ヨーロッパ、EU圏内で搭乗拒否、欠航、目的地到着が大幅に遅れた場合、EU規則261/2004に基づき、旅客は補償を請求できる権利を有します。
飛行距離3,501km以上のフライトでは4時間以上、飛行距離1,501kmから3,500kmのフライトおよびEU内における飛行距離1,501km以上のフライトでは3時間以上、1,500km以下のフライトでは2時間以上、出発が遅延した場合です(特別な場合を除く)。
クレジットカードに付帯する「海外・国内航空便遅延費用特約」で、航空会社の補償に上乗せする形で保険金額でも補償を受けられることがあります。これも手持ちのクレジットカードなどをあらかじめ調べておきましょう。
旅行に限らず、トラブルに遭遇しないに越したことはありません。飛行機が欠航すると、その多くの乗客が別の便や別の交通機関へ殺到するため、代替手段の確保も一苦労です。
いざトラブルに遭った時、いかに慌てずに行動することができるか。それは「準備」や「心構え」がとても大事で、よくあるパターンや対処法など、知っておくに越したことはありません。
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