日本時代の建物を残したい。台湾人の切なる願いの裏にある日台の絆

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2018/08/10

日本統治時代の台湾総督府が残した建造物を、今も活用し続けている台湾の人々。最近では花蓮に残る検事長宿舎が1億円近い大金をかけ修復されたとの報道もありました。なぜかの国では日本統治時代の建物をここまで大切にするのでしょうか。台湾出身の評論家・黄文雄さんが自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』に、その理由を記しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年6月12日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【台湾】日本時代の建物を残したいという台湾人の思い

日本統治時代の検事長宿舎、修復が完了 最後の入居者も祝福/台湾・花蓮

台湾には日本統治時代に建てられた建築物が多く残っていますが、今回はその中の一つである花蓮に残る検事長宿舎が修復され観光地として開放されるというニュースです。以下、報道を一部引用します。

宿舎は日本統治時代の1935(昭和10)年に設置された「台北地方法院花蓮港支部及び検察局」と共に建てられ、戦後も引き続き使用された。だが1951年に花蓮で起きた大地震で同市一帯が被災したのをきっかけに、同支部や宿舎は別の場所に移転。建物は荒廃が進んだものの、2008年に県定古跡に登録され、保存されることが決まった。

傅県長によれば、修復にかかった費用は2,670万台湾元(約9,850万円)。今後は県内の他の古跡と同じように維持・管理される。同県文化局によると、敷地内の芝生などの整備が完了した後、一般公開を開始する見通し。

いくら歴史的建造物だとはいえ、約9,850万円もの費用をかけて修復するというのはなかなかの英断です。それは花蓮県の財政が豊かだからではありません。やはり、日本統治時代の建物を残したいという台湾人の思いが実を結んだとしか思えません。

台湾で、日本統治時代の建築物を修復して観光地化する動きが進んでいることは、以前、「台湾では今、古き良き『日本統治時代の建物』が観光地化されている」でもご紹介したことがあります。また、総統府や台北駅の駅舎をはじめ、北投温泉博物館、台北郵便局、西門紅楼など、日本時代に建てられた有名な建築物は数多くあります。

これらが戦後70年以上が過ぎた今でも台湾の人々の日常に溶け込み、台湾の人々にすんなりと受け入れられ、一部は今でも現役として活用されている状況を見るにつけ、日台の絆の深さを感じます。日本と台湾は、決して支配者と被支配者の関係ではなかった。それを何よりも証明してくれているのが、これらの建造物をめぐる台湾での扱いです。

取り壊されもせず、廃屋にもならず、老朽化すれば約1億円もの大金をかけて修復され、その地域の目玉となる観光地に仕立てあげる。そうした行為そのものが、かつての日台関係がどういうものであったのかを物語ってくれています。中でも、台北の「霞が関」とも呼ぶべき博愛地区には、日本統治時代の堅牢な建物が多く並んでいます。日本の建築を学ぶ学生などにとっては、必見の場所でしょう。


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