中華テーブル、実は日本発祥。日本人の「おもてなし心」が生んだ発明品
日本の「おもてなし」は世界的に見てもかなりのレベルに達しています。実際に、世界経済フォーラムが作成した「Travel & Tourism Competitiveness Index 2017 edition」では、日本の観光業の競争力は世界4位。
さらにおもてなしに相当する「顧客志向の度合い(Degree of customer orientation)」については、世界1位と評価されているのです。
もちろん、おもてなしはサービスや接待の面だけではありません。実は、私たちの生活の身近なところでも日本人のおもてなし の心が現れているものがあるのです。
そこで今回は、日本人のおもてなしに対する意識の高さや思いやりの心が生んだ、さまざまな発明品を紹介したいと思います。
タクシーの自動ドア
最初はタクシーの自動ドア。こちらは必ずしもおもてなしのために生まれたわけではないといいますが、結果として「日本人のホスピタリティが生んだ技術だ」と、外国人旅行者にも喜ばれている発明品。
いまではおもてなしの象徴にもなっていますよね。
もともと日本のタクシーは、諸外国のタクシーと同じで手で扉を開閉する仕組みでした。
しかし、1964年の東京五輪の前に、レバー式自動ドアとバキューム式自動ドアという2つの方式が相次いで開発されます。レバー式自動ドアを日本で最初に導入したといわれるタクシー会社は、トンボ交通(大阪府枚方市)です。
実際に問い合わせてみると、「自動ドアの開発は昭和35(1960)年」とのこと。
東京五輪が開催された年は1964年。バキューム式自動ドアは、トーシンテック(愛知県丹羽郡大口町)という国内最大手のタクシーの自動ドア製造会社によって開発されました。同社の公式ホームページには、
<東京オリンピックが開催された64年に、東京の大手タクシー会社が新車に導入の際にこぞって導入したことから全国に普及した>(トーシンテックのホームページより引用)
と、普及の経緯が述べられています。
開発の背景としては、運転手の労働負担を軽減するために生まれたといいますが、結果として乗客の利便性にもつながり、いまでは日本のおもてなしの象徴となっていったのですね。