梨ソフトも美味いのだ。山口の宝・秋芳洞は思わず叫びたくなる美しさ
前回は愛媛県で幻の果物「ポポー」を食べた謎の人物・大魔王ポルポル、ママチャリで日本一周する旅はようやく山口県までたどり着いたようです。
立ち寄った日本の各地を次々「征服」する彼が標的にしたのは、なんと日本最大級の鍾乳洞・秋芳洞。地下のひんやりした空気と暗さは、黒ずくめの彼にピッタリだったようで、秋芳洞から次々と悲鳴が漏れ…る…?
つらすぎたママチャリ峠越え
山口県へママチャリを漕ぎ続け着々と県名を「や魔ぐちけん」に変えて征服に勤しむ大魔王ポルポルは、次なる目的地である九州へと向かっていた。
しかし、その前にや魔ぐち(山口県)の山奥に潜む観光地、「秋芳洞(あきよしどう)」に向かっていた。大魔王と鍾乳洞、似合わないわけがない。
秋芳洞は「しゅうほうどう」とも呼ばれ、地下100mから200mに広がる特別天然記念物の鍾乳洞だ。まさに日本の誇る最大規模の鍾乳洞である。
しかし、秋芳洞へ続く道はママチャリで登るには過酷なほど険しい山であった。周囲からは「こいつアホやろ…」と思われるほどの上り坂が続き、魔族といえど困難を極めた。ママチャリで峠越えとはまさにこのことである。
「ガッハッハッハ!!我輩でもっても山登りはキツイのだ!がははははは…」
と、大魔王はママチャリを押し、ゼーゼー言いながら、かれこれ3時間ほど山を登り続けていた。イノシシが出そうな山道を登り、時には頭が狂いそうになりながら、やっとこさ目的地の秋芳洞へやってきた。
そして着けば周りは観光客だらけで、こちらをジロジロ見てくる。
受付の人にも、観光客にも
「え…これできたの?」
「しんどくないかい?」と首を傾げられた。
大魔王は「あ…はい。そうですけど…」と深々く頭を下げながら、秋芳洞の受付を済ませて中に入っていった。
「な! な! なんとキレイな場所なのだ。素晴らしき! ガッハッハッハ!!」
蒼く光る水が川のように流れ、精霊が出てきそうな大自然が目の前に広がった。我輩は、中に入るやいなやその姿に圧倒された。
奥には秋芳洞の洞窟の入り口が広がる。その巨大な入口のに飲み込まれそうになりながら、洞窟の奥へと入っていったのだ。
秋芳洞の中は、とても暗く、そしてひんやりとした空気が漂っていた。なんとここでは一年を通して気温が17度に保たれているらしいのだ。洞内には「百枚皿」「洞内富士」「南瓜岩」などの名所ゾーンがあり、1つ1つに魅力的な名前が付いている。悪魔と言えど歴史のロマンを感じさせられたのだ。
薄暗い洞窟の中を彷徨うように前へ歩いた。と、そのとき! 我輩の目の前から、
「きゃぁぁぁ!!」
という悲鳴が響いた。隣からは
「ああぁぁ…びっくりした…」
と驚く人々が現れた。
観光客には我輩がジェイソンに見えたのだろう。暗闇に白塗りの全身黒ずくめの男が前から歩いてくる。我輩だってもう…想像しただけで怖い。
秋芳洞がホラー映画の舞台へと変化していった。くしくも大魔王ポルポルというジェイソンは、13日の金曜日ではなく19日の木曜日に秋芳洞に現れたのだ。
黙々と奥へ進むたびに、「百枚皿」や「千町田」などの名所が目の前に現れた。きれいな水が流れ、洞窟の歴史に神秘を感じた。
しかし観光客からは、
「え!なんやあれ…」
と怖がられ、
「うわゎぁ…」
と、我輩を見て慌てる人、小学生の遠足の集団には
「うぁぁ…握手してください…」
と言われる始末。山口県を支配するつもりが恥ずかしくなった。
そして全長約1kmの秋芳洞は、まさに地獄のホラーロード。秋芳洞は往復すると約1時間ほどの距離である。しかし、恥ずかしくて小走りに進んだため40分ほどで帰ってこれた。
「秋芳洞は恥ずかしい。」
我輩は一つ学習すると、受付の人に、
「がんばってください…!」
と、応援された。我輩はとても恥ずかしいので逃げるように山を下りて行った。まるでその姿は、小熊が間違って街へ降りてきたので急いで山に戻る姿と似ていただろう。
それでも秋芳洞含む山口県を、なんとか「や魔ぐち」に変えた大魔王。次なる目的地はついに九州地方だ。そう思いながら大魔王はママチャリを進めることにした。
大魔王のおまけ
秋芳洞に来たら、秋吉梨ソフトを進められたぞ。ガッハッハッハ!!この梨の香りが広がるソフトクリームは甘党の我輩も星3つの旨さなのだ。ガッハッハッハ!!恐怖を忘れる梨ソフト!秋芳洞でおススメの逸品だ。
ところで、白塗り黒ずくめの我輩を知らぬという者はここか、記事の著者情報を見るが良い。ガッハッハッハ!