「誰でも作れる」制約が生む付加価値。淡路島の商品開発の仕組みとは
地域をあげて、売れる「物」を作ろう、作る「人」を集めよう、生み出す「スキル」を育てようーー「30年後、日本の自治体の半数は消滅する」という言葉(通称・増田ショック)以降、どこの自治体を見てもこの動きが高まっているようです。日本書紀で「日本で一番最初にできた島」とも言われる兵庫県・淡路島でもその状況は同じですが、これまで通りの特産品を作り、確定した販路へ売っていた地方の生産者が、急に新しいビジネスと雇用の創出に取り組めるのか…と言われると実質難しいはず。そこで、淡路島を拠点に立ち上がったのが「民」と「官」による協働事業「淡路はたらくカタチ研究島」です。
現代版「淡路瓦」はとことんシンプルがキモ
11月24日から29日まで、「淡路はたらくカタチ研究島 つながりをうみだす商品発表会」が東京都渋谷区・ヒカリエで開催されています。ここで発表されるのは、淡路はたらくカタチ研究島プロジェクトが1年かけて考案した淡路島ならではの商品たち。
商品開発3年度目となる今回、商品発表会で披露されたものの中でもひときわ目を引くのが「まちまち瓦」です。「淡路瓦」と言えば淡路島の伝統産業のひとつで、今でも島内に約80軒もの瓦の窯元が現役なんだそう。
瓦と言えば分厚くて波打つような形を思い浮かべますが、今回開発されたのは薄めで平坦、模様が何もない「つるつる」瓦と、縦のシンプルストライプの「しましま」瓦です。
「今の住宅の価値観に合うシンプルでモダンなデザインを考えました」と話すのは、この開発商品の提案者で、瓦の窯元・株式会社タツミの興津祐扶(おきつゆうすけ)さん。淡路の瓦づくりは完全分業制で、鬼瓦や軒瓦、袖瓦など作る瓦の種類はその窯元で決まっているそうで、代々続くタツミは装飾豊かな鬼瓦を作っています。
「企画の当初は鬼瓦のデザインを変えたり、瓦に装飾をしたりという案もありました。ですが、分業制をとっている淡路瓦としては、あらゆる窯元が一緒に商品開発をして、製造まで担うことのできる連帯した商品づくりが重要でした。そこで、形をシンプルにして、
フラットな瓦なら、どの窯元でもつくることができます。そして反りやすく製造が難しいと言われている薄い瓦は、400年の伝統続く淡路瓦の職人の技術力あってこそ生み出されます。