「ぶり奨学金」でお父さんも幸せ。日本一若い副町長の長島町改革

TRiP EDiTOR編集部
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2015/11/11

九州は鹿児島県、鹿児島市から潮流を超えて黒之瀬戸大橋を渡るとたどり着く、小さな諸島「長島町。きっとご存知ない方が大半だと思いますが、長島諸島(ながしましょとう)と諸浦島(しょらじま)、伊唐島(いからじま)、獅子島(ししじま)からなる鹿児島県長島町は、日本一の漁獲量を誇るブリの養殖場でもあります。そんな長島町で奮闘するのは井上貴至さん30歳。実は彼、日本一若い副町長なんです。

日本一若い副町長が誕生したわけ

「ぶり奨学金」でお父さんも幸せ。日本一若い副町長の 長島町 改革
獅子島の風景

井上副町長が長島町にやってきたのは2015年4月のこと。大学卒業後、総務省に入庁し、昨年まで内閣府で地方改革を担当していましたが、2015年に始まった内閣府の「地方創生人材支援制度」の第1号として、鹿児島県長島町の副町長に就任することとなりました。まさに自ら作りあげた制度を我が身で体験しているというわけです。

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長島町の副町長に就任した井上貴至さん

赴任先がなぜ長島町だったのか…もちろん様々なマッチングの末ではあるのですが、何よりも長島町が持つポテンシャルの大きさが決めてだったと井上さんは話します。

「長島町はブリの養殖において売上高世界一のまちです。また長島で採れたサツマイモを使った芋焼酎・島美人は、焼酎好きなら飲んだことがあるのではないでしょうか。食料自給率も100%以上、出生率も2.0人と安定しており、農協・漁協それぞれで年間100億以上の売上高を誇る、非常に恵まれたところなんです」。

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日本で初めてEUのHACCP(食品の安全な製造を確保するための管理手法)を取得し、世界27カ国にブリを輸出する長島町。そんなポテンシャル溢れる長島町も、町内に高校がないなどの問題から町外へ若者が流出するなど、人口減少が問題視されています。

そんな中で井上副町長は、赴任から約半年の間に様々な施策を施しています。中でも画期的なのが「ぶり奨学金」です。進学で町外(島外)へ出るとなると、通学費用や寮費などで通常の進学より就学費用がかかります。ぶり奨学金は、卒業後長島町に戻ってきた場合、その期間の返還が免除されるという制度です。

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「例えばブリ1本購入で何円、島美人1本購入で何円、町の居酒屋で飲んだビール1杯につき何円、というように、島の地産のものを消費した際に、その額の一部を奨学金にあてるというもので、地域みんなで子育てを応援するというのが目的です。これならお父さんがお酒を飲んでも『これは、ぶり奨学金にあてられるんだよ』って言い訳もできますよね。経済には言い訳が大切なんですよ」。と笑って話してくれました。

また、卸売の大量販売が中心だったブリの販売を改善すべく、農業・漁業のブランドづくりに取り組んでいます。日本初の漁協による株式会社の設立を支援し、外部からシェフを招待したり、個人向けインターネット販売サイトでの直販をするなど、長島町の産物をブランド化しようとしています。

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