『鬼滅の刃』が大人気だけど、そもそも日本の鬼っていつからいるの?
『鬼滅の刃』が大変な人気を集めており、台湾や韓国など海外でも大ヒットを記録しています。同作では主人公が「鬼」にされた妹を人間に戻すために戦う姿が描かれていますが、そもそも鬼はいつから存在しているのでしょうか。
『桃太郎』など日本の昔話にも鬼は出てきますが、その正体や歴史は意外に知られていません。そこで今回は「鬼の日本史」についてご紹介していきます。
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鬼の姿は「鎌倉時代」に完成した
鬼といえば、どういった姿・形を思い浮かべますか?現在41歳の筆者は、かろうじて『ドリフ大爆笑』をリアルタイムで見ていた世代で、そのなかのコントで人気だった「雷様」の姿を思い浮かべます。
トラ柄のパンツを履き、もじゃもじゃの髪の毛に2本の角が生えていて、体の色は赤だったり青だったりするわけですが、恐らくこのイメージは多くの日本人に共通する鬼の姿ではないでしょうか。日本昔話に描かれる鬼の姿も、似たり寄ったりです。
冷静に考えれば、なんで鬼には角が生えているのでしょうか?トラ柄のパンツをはくを理由は、どうしてでしょうか?肌の色が赤だったり青だったりする理由は何なのでしょうか?聞かれると、意外に答えられません。
調べてみると、小松和彦編『怪奇の民俗学4 鬼』(河出書房新社)に、ヒントになる情報が書かれています。同書は鬼に関するいくつかの論文を編集した書籍です。そのなかに黒田日出男「絵巻の中の鬼―吉備大臣と<鬼>―」という論文があります。
この論文は、日本史上の主要な絵巻を振り返り、過去の日本人たちが鬼をどのように描いたかを調べています。
同論文によると、平安初期に成立した『日本霊異記』に出てくる鬼の姿は、まだ「雷様」のような姿をしておらず、具体的なイメージが与えられていない様子。
その鬼も、平安時代末期の『今昔物語集』になると、百鬼夜行をする姿が具体的に描かれるようになります。
なかには頭や額に角を生やした鬼がいたり、赤い浴衣を着た鬼がいたり、うるしをぬったような真っ黒い鬼がいたり。さらに鬼には刀のような歯や爪が見られるようになりました。
ただ、鬼の姿の完成は、鎌倉時代の絵巻『北野天神縁起』まで待つ必要があります。
この絵巻にはいよいよ「雷様」のような鬼が登場しますから、現在の典型的な鬼のビジュアルは、鎌倉時代に完成したと考えられるのですね。