圧倒的迫力!あの有名映画にも登場する久御山の「巨大ジャンクション」へ

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2021/07/15

「工場萌え」「ダム萌え」「公共団地萌え」など数ある「インフラ(都市施設)萌え」の中で、数年前からジワジワと人気になっている「ジャンクション萌え」というのがあるのをご存じですか?

特に京都で人気なのがブルーの桁が美しい「久御山ジャンクション」。確かにこの巨大ジャンクションを見ていると、その美しさの理由について詳しく知りたい!という気がしてきます。

そこで今回は「久御山ジャンクション」をより楽しむために橋梁エンジニアであり、ジャンクションや橋梁に詳しい丹羽信弘さんにガイドをしていただき潜入してきました!

ガイドは愛橋家Bridgeloverで技術士(建設部門・総合技術監理部門)の丹羽信弘さん

本日、案内していただく丹羽信弘さんは京都市出身で渡月橋を見て育った生粋の橋好き。建設コンサルタント会社で北海道から沖縄まで200以上の橋や高架橋を設計している橋梁エンジニア。

国土交通省近畿地方整備局から優秀技術者表彰や、さらに例えるなら橋梁界のアカデミー賞である土木学会田中賞を設計した橋で3度も受賞した経歴の持ち主です。そうそう!福知山城にかかる「昇龍橋」も丹羽さんたちの会社が手掛けられたのだそうですよ。

[動画で解説]福知山城の 5 つの魅力を徹底解剖 !

ジャンクションとは

潜入に先立ち少しレクチャーを。「ジャンクション」とは簡単にいうと高速道路の交差点のこと。今回、潜入する「久御山ジャンクション」は第二京阪道路と京滋バイパスのクロス地点に造られたジャンクション。

遠目からでも目をひく美しいブルーが印象的ですし、久御山イオンのすぐ側なので「あ!あそこか」と思われたかたも多いのではないでしょうか。

「ジャンクション愛好家(マニア)」の方々から東の横綱とよばれる「箱崎ジャンクション」や西の横綱「阿波座ジャンクション」は都会のど真ん中にあり、一種異様な迫力が魅力ですが、久御山ジャンクション周辺は田んぼが広がり、ゆったりとのどかな土地に造られているのが持ち味です。


image by:Google map

また、ジャンクションにはさまざまな形があり、4枝交差では上から見た形でクローバー型タービン型対向ループ型などに分けられ、久御山ジャンクションはこの中の、ぐるぐると円を描くタービン型。

広い土地を必要とするので郊外に多く作られることが多く、すべての右折が緩やかなカーブになっているので走行しやすいのも特徴です。

ジャンクションは下から見上げる

さあ、いよいよ潜入開始です!スタートは橋梁の下から。久御山ジャンクションは橋梁の真下を歩くことができるのも魅力。

丹羽さんによると橋の魅力は下から見上げることにあるそうで「僕のキャッチフレーズは、“イイ橋を見上げよう!”なんです。小さな橋から大きな橋まで、橋を下から見上げると設計者(デザイナー)がどういう想いでこの橋を作ったのかが分かるんですよ。橋を架けるのに、必要条件と制約条件をクリアして、最適な材料・構造・作り方をシミュレーションし、最大な価値が得られるよう設計します。この設計者(デザイナー)の想いが、橋の造形となって出現するところを見てもらいたいですね」。

「例えば、ほら、見てください」。と指さした方を見ると橋脚に溝が切られ、そこに橋面からの排水管が通っています。

「排水管が外に飛び出していると目障りで見栄えが悪いので、まず桁の内側に排水管を通して橋脚のところで外に出し、排水管のサイズにスリットを切って格納しています」。

丹羽さんが思う美しい橋とは目障りなものは何もなくスッキリとして、景観に調和していることなのだとか。手間はかかるけれど、カッコイイ橋にしたいという造り手の想いが伝わってきます。

「それから、ここはサークルハンチといって橋脚柱の角を面取りしています。面取りすることで柔らかな印象にしていますね」。なるほどコストを抑え、最適の技術を用いて作るだけでなく、美しさも追求されているんですね。

「桁の裏を見てください。手前と奥では違うでしょう」。手前は、鈑桁(ばんげた)といって橋桁の断面がアルファベットの“I”の字形に鋼板を溶接して、これを主桁とする橋、奥と左は箱桁(はこげた)といって鋼板を箱形の断面に溶接して組み、これを主桁とする橋なんですよ。

箱桁の方がねじりに強いので曲線橋に多く使うのだとか。そうやって見上げると「ここは真っ直ぐ道路を伸ばしたかったからこの構造にしたのか」と素人ながらも橋梁の構造が良く見えてきます。

また、箱桁と鈑桁では桁の高さが異なるのですが、手前の高架橋を見ると箱桁から鈑桁への掛け違い部で、桁高を擦りつけて段差になっておらずスムーズ。そんなところの見栄えも気遣っているんですね。

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