京都の「きつねうどん」の別名に秘められた、知られざる歴史

きつねうどんの別名

京都のきつねうどんには別名があるのをご存知でしょうか? 今はあまり知られていないようですが「信太しのだ)」といいます。京都の歴史好きの方ならご存知かも知れません。

実はこの話の由来は安倍晴明(あべのせいめい)に関係しているんです。安倍晴明の母人間の姿に化けたきつねだったという話をご存じでしょうか? ある時、晴明の父、安倍保名(やすな)が大阪の和泉にある信太明神にお参りに行きました(この神社今でも大阪にあるようです)。するとそこにはとても美しい女性がいたそうです。後に二人は結ばれて、生まれた子どもが晴明でした。

数年後、晴明の母はなんときつねであることが分かりました。母は晴明に

「恋しくば 尋ねて来てみよ 和泉なる 信太の森の うらみ葛の葉」

と言い残していなくなってしまいました。晴明の母は自分のふるさとだった大阪和泉の信太の森に逃げ帰ってしまったのです。当時まだ幼かった晴明は父に連れられて信太の森に行きます。

母に会って、帰ってきて欲しいと説得したのですが、一緒に帰ってはくれませんでした。母親はその代わりに息子・晴明に護符を授け水晶の玉を渡したといいます。その護符と水晶玉の力のお陰で、晴明はその後歴史に名を残すほど有名な陰陽師になりました。晴明は成人してから6代の天皇の側近として仕えました。

きつねうどんのことを「信太」と呼ばれる理由はこの晴明の伝説話にあったのです。どんなに歴史を振り返ってもきつねの母親から生まれた人間はいないと思いますが、安倍晴明は平安時代に実存した人物です。未来の出来事を言い当ててしまうような並外れた能力を持っていた安倍晴明。そんな彼の人間離れした能力が誇張されて、きつねから生まれたという話がまことしやかに受け継がれたのかも知れませんね。

いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほんの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

image by: Shutterstock.com


 

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