消え行く街角の本屋さん…青森八戸市は「市営書店」で生き残り術
市営書店「八戸ブックセンター」
そんな状態を憂いた八戸市が2016年12月、市営図書館「八戸ブックセンター」をオープンさせたというニュースを耳にしました。自治体が経営する書店とはどんなものなのか。本ははまちの活性化にどんな効果があるのか。興味津々でした。
それから約1年後の11月、弘前や八戸での仕事があり、これは願ってもない機会と「八戸ブックセンター」を覗いてみることにしました。
書店は八戸駅からバスで15分ほど、町一番の繁華街にある真新しいビルの1階にあります。外観や内装は「蔦屋書店」を思わせるスタイリッシュな趣。どれも自由に手に取って読むことができ、気にいったら購入する仕組みです。
お茶を飲みながらの読書でもいいらしく、会計カウンターではコーヒーなどのドリンクも販売しています。ハンモックが吊るされたコーナーもあり、私も近くの本を手に取って、しばし揺れながら読書を楽しみました。
ここでは、民間の小さな書店では扱いにくい芸術や自然科学などの専門書を多く揃えていて、本のセレクトや並べ方はやはり普通の書店とは違った感じ。「山に生きる人々」とか「みんなゲームで育った」、「安全をとるか 自由をとるか」など、テーマ別に関連する様々な本が並べられています。だから、棚は高さの違う本で凸凹状態。自宅の本棚のようで、いい感じです。
面白いと思ったのは、「ひと棚」という選書コーナー。読書好きな市民や八戸に縁のある人などが、独自のテーマに沿って自薦の本を並べています。読書好きが選ぶとあって、どれもかなりディープな選書。
他に、登録した市民が執筆に利用できる「カンヅメブース」、ブックセンターや市民が企画する読書会が開催できる「読書会ルーム」、作家や作品の展示を行うギャラリーなどのスペースが用意されています。また、八戸が生んだ作家・三浦哲郎の書斎を模した踏み机のあるスペースは読書席として利用可能とか。
つまりは、本好きが集まり、本も買える“本好きたちのコミュニティカフェ”のような場を目指しているように思えました。