ふるさと納税で大ヒット!不況直撃の工場を救った「ままごとキッチン」
宮崎の片田舎にある小さな家族経営の工場が急成長を遂げているという話を入手しました。にわかには信じられないのですが、いま全国で活発に行われている地域活性化事業をきっかけに、さらに成長を続けているというのです。しかも、子供向けに作られたたったひとつの商品だけで、数ヶ月先の予約まで埋まっているというのだから驚きです。
工場の危機を救ったのは、おままごと玩具
そんなミラクルを起こしたのは宮崎県小林市にある「川崎建具店」の川崎賢広さん。先代の父が開業した小さな工場を継いだ当初は、ただひたすらに父の依頼通りに住宅用の木製品を作り続けていたそうです。
しかし2008年の不況の折、工場への仕事は減る一方で、一時は工場をたたむまでの危機にさらされたそう。そんな状況を抜けるきっかけとなったのは、なんと子供向けのおままごと玩具でした。
「お前が木製品を作ったら、俺のショップで売ってやるよ」。子供向け玩具を作る事になったきっかけは、ネット通販ショップ「ホビナビ」を運営する同級生の一言だったそうです。同級生の知恵を借りてデザインを考え、作り始めたのが「ままごとキッチン」でした。
川崎さん自身も、建具以外を作ったことがない中で、試行錯誤してようやく作り上げた完成品第1号は、ネットショップに掲載して数日で友人から「売れたぞ!」との連絡があったそう。
「使う子供のことを考えて、怪我をしないように角を落とし、でも木のぬくもりを肌で触って感じられるような商品にしました。木目の美しさや自然の匂いを感じてもらえるように、余計な加工はあえてしていません」。
「見た目の美しさは、こだわりのドイツ製もみの木のおかげです。白っぽい優しい色味のあるものがいいと思い、この材木を選びました。以前は桐を使っていたのですが、こちらの方が黒く変色しやすい桐よりも見た目も良いし、適度に重さがある点も気に入っています。樹齢100年以上のものを使っていて、寒い地域で育った木ということで、とても丈夫なんですよ」。
ドイツ製といっても仕入先は地元の工場。その工場も、以前は宮崎県のもみの木を卸していいましたが、今は地元の木が激減してしまったこともあり、輸入品を仕入れるようになっているそうです。
川崎さんの作るままごとキッチンは、定価で3万円以上と、子供のおもちゃとしては決して安くはない商品です。にもかかわらず数日で、しかもネットショップという現品に触れることのできない方法でも販売できた。川崎さんのこだわりが伝わった結果に違いありません。