10円玉でおなじみの「平等院鳳凰堂」は、こんなにも謎めいていた

有名な本尊の阿弥陀如来座像は、目の前の阿字池越しでも拝むことが出来ます。仏師の父とも言われている定朝(じょうちょう)の現存する唯一の作です。特徴は、大きな仏像を形作る小さな木のパーツを組み合わせて作る寄木造りの工法が用いられていることです。おそらくこの阿弥陀如来坐像が寄木造りの原点と言われている点でとても貴重なのです。

また堂内の壁に52体の雲中供養菩薩像が、立体的に舞っているのが印象的です。楽器を奏でながら舞う姿、祈りを捧げる姿など、阿弥陀如来と共に衆生を極楽浄土へと誘うさまが表現されています。今は52体の大部分がミュージアム鳳翔館に展示されています。

かつては本尊の頭上に、黄金に輝く天蓋が施されていたりと暗い堂内を少しの明りで輝きを演出する工夫が凝らされていました。それらは当時の貴族が持つ芸術的センスと極楽浄土への強い想いの表れであったことがうかがわれます。

鳳凰堂の屋根に立つ鳳凰は古代中国の想像上の鳥です。立派な天子が世に出るのを待って現れる鳥とされています。鳳凰堂の2匹の鳳凰は北側と南側では大きさが違うそうです。北の像は98.8cm、南の像は95.0cmの高さで北が鳳(オス)で、南が凰(メス)とい言われています。

現在屋根の上に輝く像はレプリカですが、オリジナルは鳳翔館に展示されているので、鳳と凰の違いを比べてみて下さい。

この時期は平等院の藤が見頃なので是非足を運んでみて下さい。ちなみに私が行った時はリニューアルオープン直後だったからだと思いますが、3時間待ちでした!

いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほんの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

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