心もビックな外国人女性に恋をして、僕はいつの間にか大人になった
片思いをしている相手は…既婚者だった
ユ:そのあとは僕がよく行くお好み焼き屋さんへ一緒に行ったんです。彼女はお好み焼きも食べるのは初めてだったみたいで、「具だくさんで、青のりや鰹節の香りがよくて、ソースもとても美味しい!」と喜んでくれました。
赤:自分がよく通っている行きつけのお店の味を好きな人が気に入ってくれるのは、嬉しいですよね。
ユ:めっちゃ嬉しかったですね。特にジェシカはソースの味に感動したみたいで、小売されているソースをお土産にも買っていくほどでした。でも…
赤:でも?
ユ:そのソースをお土産を買うときに「息子にも食べさせてあげたい」っていったんです。
赤:息子?え?ジェシカさん子どもいるのか!
ユ:よくよく聞いていると、実はジェシカは既婚者だったんです。家庭もちで7歳の息子さんがいる主婦であるという事実を、ジェシカが日本に来て初めて知りました。
赤:えええええ!既婚者だったのか…。
ユ:いままで半年近くやりとりしていて、そのときまでジェシカが結婚しているなんて知らなかったんです。
赤:衝撃。じゃあなんで彼女はオーストラリアからユウタさんに会いに来たの?
ユ:彼女からは、浮気心だとか悪気なんてものは一切感じませんでした。本当に純粋な気持ちで日本のカルチャーに興味があって、大好きな街を訪れた。ついでに日本の友だちである僕に会いに来た。ただそれだけだったんです。
赤:じゃあ、普通にただの観光…?
ユ:そうです。僕としてはあわよくば付き合えるって思ってたんで、結婚していることに対しての驚きが大きかったです。でも、既婚者と知っても惹かれていくことを止められない。そのとき、思わず僕は彼女の目を見つめながら「I LOVE YOU」と言葉に出してしまったんです…。
ユ:唐突で、いま思えば僕を「友だち」と思ってくれていたジェシカの気持ちを裏切る、ワガママな子どもみたいな言葉だったかもしれません。でも、彼女は僕の目を見てウンウン頷きながら、いつもの笑顔で「ありがとう!」とだけ返してくれたんです。
その一言で、僕の高ぶっていた気持ちが、すーっとひいていくような感覚があって。「ああ、叶わない恋なんだ」と確信したんです。
赤:ジェシカさんがもし、ユウタさんの本当の気持ちに気づいていたとしても、友だちとしての関係を壊さず、そして傷付けないようにと、大人として「いつも通り」で受け入れてくれたのかもしれませんね。
ユ:仮にジェシカが人妻でも既婚者でもなければ、さらに前のめりになって恋をしていたかもしれないなって思います。僕の年齢なら、まだ海外挑戦といってジェシカを追いかけにオーストラリアに行くことだってできたはず。
それでも好きだからこそジェシカの家庭を壊すことはできないし、これからもずっと友だちでいたい。そう思ったんです。
赤:そのあとはどうしたんですか?
ユ:それからは彼女のホテルまで送って、そのまま解散しました。その後の滞在中も会うことはなく、彼女は京都へと観光に出かけたみたいです。
僕の半年の淡い恋心は一瞬で崩れてしまいましたが、この恋がきっかけで自分にも自信がもてるようになったし、前よりも明るくて積極的になれたとも思います。特に、熱中するとグッと前のめりになりやすい子どもっぽい性格が、落ち着いたかな?
彼女に恋して、ただ受け入れてもらったおかげで、少しは大人になれたのかもしれない。結果としては、ただの旅行者に大阪を案内した感じになりましたけどね(笑)
そう笑って優しく話すユウタさんは、なんだか年齢よりも大人っぽく見えました。片思いは残念ながら叶うことはありませんでしたが、実際にさまざまな人と知り合うことで、見知らぬ文化や習慣に触れたり、意外な個性に魅力を感じたりと、新しい発見があることは確かです。
なかなかお出かけができないいまだからこそ、いままでなんとなく読まずにいた種類の本を読んでみたり、チャットツールを使って海外の人と話してみたり。
そうやって、お家にいながら世界を広げてみる…というのも、いいのではないでしょうか。
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