アイラブユーと言えなくて。20代女子がイギリス人女性と過ごした春の話
幸せな時間はそんなに長く続かなかった…
メ:自分でいうのもなんですが、付き合ってから私たちはラブラブでしたね。夜の港へドライブに行って潮風に吹かれ、静かな暗い海を眺めながら、iPodで一緒に音楽を聴いたり。
メ:スコットランド出身のTravis(トラヴィス)っていうバンドがいるんですけど、彼女はそのバンドがとても好きでした。なかでも『Under the Moonlight』という曲が大好きで、その曲を聞いていると「こうしてると、世界に私たちしかいないみたいね」と、彼女はうっとりしていました。
赤:直訳すると「月明かりの下で」ですね。
メ:埠頭にふたりで腰掛け、月明かりが揺れる水面を眺めているのは、本当に親密でロマンチックな時間でした。でもそんな幸せな時間は続かなかったんです。
赤:え?どうして?
メ:彼女と私はラブラブな日々を過ごしていたものの、実は彼女が元彼女ときちんと別れていなかったことが判明したんです。
愛する彼女から「大丈夫、3人で付き合おう」とまさかの提案
赤:別れていなかったって、二股ってことですか?
メ:そう、元カノと私の二股だったんです。
メ:当時、私は大学生でしたが真剣にリサとの将来を考えていたんです。大学を卒業したらイギリスで就職しようと思うほど、ずっと彼女といたいと思っていました。だからこそ、ある日その話をリサと共通の友人に話したんです。「リサとずっと一緒にいたいから日本に帰らず、イギリスで住み続けようと考えている」って。
赤:つまりメグミさんは、改めて「アイラブユー」をいおうと思っていたんですね。
メ:そうです。そしたら友人が困った顔をして…こっそり「リサ、元カノと別れていないみたいだよ」って教えてくれたんです。
赤:別れたっていわれたから付き合ったのに…。
メ:それを聞いてすごく動揺してしまって。そんなことリサがするはずがない、誤解だって思ったんですけど、気付いたらリサを寮の前まで呼び出してました。
赤:本当のことを本人から確かめようとしたのですね。
メ:リサに、元カノと付き合っているのかと問い詰めると、彼女はあっさり認めました。
赤:え…?
メ:謝罪とか言い訳とか何かしらあるかと思っていたのに、さらりと「大丈夫、3人で付き合っていこう。こんな愛のかたちもあるよ」といってきたんです。
赤:その状況だと、「何が大丈夫なんだよ」っていってしまいそうです…。
メ:最初は冗談をいっているのかと思ったら、リサは真剣でした。「メグも元カノのことも愛している。私はふたりとも仲良くできる」って。彼女のことを好きで将来のことも考えていただけに、二股で挙げ句の果てにウソをつかれていたことがショックで、思わず泣いてしまいました。
赤:大大大ショックですよ。私なら「まずは謝れよ!」ってキレちゃいそう。
メ:いま思い返せば、赤池さんのいうようにキレたり、真っ直ぐに感情をぶつけてみてもよかったのではと思いますが、そのときはとてもじゃないけどそんな気力がなかったですね。さすがにこんな付き合い方は私にはできないと思い、その場できっぱりと断りました。
赤:納得できない恋愛スタイルなら、そりゃそうなりますよ。
メ:でも私が3人で付き合うことを拒否すると、リサがひどく怒り出して「絶対に離さない」っていってきたんです。
赤:うーん、メグミさんとそのまま付き合いたいのなら、当初いった通り元カノと別れればいいじゃんって思っちゃいます。
メ:私もそう思ってました。あのとき「もうひとりの彼女とは別れる」といってくれたら、結果が違ったかもしれません。でも結局、自分の恋愛観だけをつき通そうとするリサの身勝手さにうんざりし、私は彼女と連絡を絶ちました。それで、彼女とのことについて、また共通の友人に相談しに行ったんですね。そしたら友人の家へリサが押しかけてきたんです。