米国ホテルの栄枯盛衰。「グランドハイアットNY」を導いたトランプ物語
トランプ大統領の出世作、グランドハイアットが解体へ
2019年2月初旬、「グランドハイアットが2020年末をもって解体される」というニュースが流れました。
1970代年末、解体の危機に陥ったコモドアホテルは、トランプ親子の驚くべき手腕により難を免れ、グランドハイアットとして生まれかわりました。それから40年、まだ早いと思う人が大半ではないでしょうか。実際、外観も部屋も老朽化を感じさせるところはありません。
解体の理由としては、未来に向け、さらに大きな利益を生むビルに変えていきたいというオーナーの意向があります。2ミリオンスクエアフィートの延床面積をもつ巨大な複合ビル（エンパイアステートビルが約2.8ミリオンスクエアフィート）を建設し、その中に、オフィス、ショッピングアーケード、そしてハイアット・ホテルを入れる予定だそうです。
もしかしますと、グランドセントラルターミナルに隣接しているビルですから、名前もグランド・ハイアットが踏襲されるかもしれません。
自分の存在を世に知らしめた最初の開発物件がなくなることを、トランプ大統領も残念に思っているのではないでしょうか。いつもの調子で「俺は許さない！」と、反対コメントを出し、実際に行動してくれないかなどと期待してしまいます。
ただ、2020年は、あのときトランプ氏が取得した特別減税措置（改築にかける400ミリオンダラーまでへの40年間の減税措置）が切れる年にあたります。それが引き金になっている可能性もあります。
また、当のトランプ氏自身は、1993年、ハイアット・ホテルズのオーナーであるジェイ・プリツカー氏を相手に訴訟を起こして、逆訴訟され、自身が保有していた株を142ミリオンダラーでプリツカー氏にすべて売ってしまっています。もはやオーナー権は持っていません。
このホテルはグランドセントラルターミナルに隣接しているため、雨に濡れることなく、寒さに凍えることなく、地下鉄の駅にも、大フードコートにも行くことができます。フードコートの中には、有名なカップケーキの店マグノリアもシェイクシャックもあります。
また、オイスターバーにも行くことができます。さらに、ブランドショップが立ちならぶフィフスアベニューにも、エンパイアステートビルにも徒歩圏内です。これほど便利な場所にあるホテルは無いと言っても過言ではありません。
2020年末までにはまだ1年半以上あります。それまでの間に、機会あれば、思い出つくりとして、このホテルを利用してはいかがでしょう。
ケニー奥谷、NY在住。慶応義塾大学卒業後、ウエスティンホテルズ入社。シンガポールのウエスティン、サイパンのハイアット、そして世界屈指の名門ホテル・NYのプラザホテルに勤務。現在はNYを拠点に執筆＆講演＆コンサルタント活動中。日米企業のクライアントを持ち、サービス・売り上げ・利益向上の指導からPR＆マーケティングまでのマルチワークをこなす。「栄枯盛衰ニューヨークホテル物語」はメルマガにて連載中
メルマガ：「ニューヨーカーたち」 by ケニー・奥谷
- 注：登場人物ならびに登場人物の言動は事実と一致しているとは限りません。
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