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2019/08/30

――それはどういうことでしょうか?

酒井:図で説明するとわかりやすいのですが、この青い点を500粒の雨粒だと思ってください。最初はばらばらの雨粒ですが、500粒ずつ加えていくことで、徐々に繋がっていくことがわかります。

【図1】500粒の雨粒を降らせます
【図2】図1から500粒の雨粒を増やします
【図3】同じように500粒を増やします
【図4】これを繰り返すと…
【図5】全部の雨粒が繋がりました

 ――はい。確かに繋がっていきますね。

酒井:徐々に繋がっていくように見えますよね。次に、図1の左下に赤い大きな●を用意して、この●に繋がったもの点を赤にしていきます。

【図6】赤い大きな点に繋がった雨粒が赤くなります
【図7】500粒を追加。数えるほどしか繋がっていません
【図8】更に500粒を追加。少し広がってはいますが、まだまだ青の方が多いです
【図9】もう1回500粒を追加すると、たくさんの雨粒が繋がりました!

これを相転移(1つの相から他の相へと移る現象)と言います。水から氷への変化をイメージするとわかりやすいかもしれません。

――徐々に増えて赤になるのかと思ったら、ある段階で一気に繋がりが増えたんですね!

酒井:この図に人間的な意味づけをすると、次のようになります。


【図10】最初は、500人の「アホ」がそれぞれ何の役に立つかわからない研究に没頭しています
【図11】更に500人の「アホ」が増えました
【図12】更に500人の「アホ」が増えました。少しずつ繋がりを生み出してきましたが、相転移に至るまではまだまだです
【図13】もう1度500人のアホが増えた時、相転移が起こりました!これがイノベーションです!

今まで役に立たない、アホなことをしていた人たちが繋がりを生み一気に役に立つものへと「相転移」する。これを「イノベーション」だと、私は考えています。イノベーションとは、「アホの相転移」です。

ランダムに点を打っているが、何度繰り返しても結果はほとんど同じ

この考えの重要な所は、全く異なる場所に青い点を打ったとしても、結果はほとんど変わらないこと。「相転移のきっかけになったのは、前回はたまたまAだったけど、今回はBだった。」ということに過ぎないんです。

大事なのは、青い点=「アホ」の繋がりが濃くなること。「何を目指しているのかがわからないけど、とにかく楽しそうに研究している」。そんな「アホ」がいっぱいいることが重要なんです。

日本の高度経済成長期には、HONDAの創設者である本田宗一郎をはじめ、自分が好きなことを夢中になって取り組む「アホ」が日本中にたくさんいました。

イノベーションを生み出すためには、たくさんの「アホ」がいないといけません。京大は、この「アホ」をたくさん生み出すための場所だと考えています。

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