いまはここで応援する。新型コロナと戦う全国の旅館・温泉宿の挑戦

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2020/04/11

DVから自分の身を守るとき、「疎開割引プラン」を参考にしてみて

写真はイメージです。image by:Shutterstock.com

次は大都市の人込みを避ける、「疎開」をうたったプランを紹介します。この手の考え方には確かに注意も必要で、先日も石川県知事が感染症状のない人に向けて、来県を呼び掛けたところ、大変な批判が起こりました。その意味で「褒められるキャンペーンではない」と感じる人もいるかもしれません。

また、大きな都市がない地域だから安心かといえば、一概に言い切れない部分もあるようです。

人口あたりの感染者数を見ると、必ずしも大都市があるとはいえない自治体も、感染者数上位に含まれています。都市部から地方部への「疎開」は、感染者を全国に増やすリスクにもつながるという声もあります。

しかし、否応なしに在宅が求められるいま、逃げ場のない家庭内の暴力(DV)など、さまざまな事情で家にいれない人もいるかもしれません。そのようなときは「疎開宿泊プラン」を参考にしてみるのも、一つの手段です。

通常料金でホテルや旅館に連泊するとどうしても費用がかさんでしまいます。あくまでも都会から地方への移動をするのではなく、もし自宅の近くにこのようなキャンペーン行なっている宿があるなら、大切な自分自身の身を守るためにも参考にしてみてください。

また、なかには絶景を楽しめる風光明媚(めいび)な場所もあるので、いまは宿泊に訪れることができなくても、落ち着いたころに応援として旅先の候補に選んでみてもいいのではないでしょうか。

地元の人を対象にした割引プランも

嬉野温泉image by:Shutterstock.com

不安やストレスと戦っている地元の人に還元をしようという試みも、さまざまな旅館で行われています。旅館に集まる宿泊客は一般的に、外の地域に暮らす人がほとんどでしょう。しかし、この厳しい時代だからこそ、あえて地元の人に楽しんでもらおうという狙いもあるのです。

例えば、佐賀県の武雄(たけお)市と嬉野(うれしの)市では、「武雄・嬉野温泉1億円キャンペーン(外部サイト)」が計画されています(※2020年4月10時点、キャンペーン再開)。

武雄とは西部の大きなまちで、蓬莱山の山すそにある武雄温泉は温泉ファンにとても有名です。その武雄から南に向かった嬉野の嬉野温泉も、同じくらい温泉ファンには有名な土地。何しろ嬉野温泉の炭酸水素塩泉は美肌の湯として知られ、日本三大美肌湯のひとつとも評価されているくらいです。


TRiP EDiTORでも過去に温泉ランキングNo.1でご紹介しました。そうした地域に暮らす地元の人たちが温泉宿を利用すると、半額になる(飲食店や土産店などで使える計4,500円分のクーポン券ももらえる)予定でした。

浜名湖image by:Shutterstock.com

ほかには静岡県の浜松市で、「“春一番” 浜松・浜名湖 観光キャンペーン(外部サイト)」も行われています。市内の宿泊施設を予約した人に対し、2,000円~1万円のクーポン(3~6月に利用可能。宿泊料によって金額は変動)を発行しています。先着で5,775室のみのキャンペーンです。

温泉宿ではないですが、似たプランとして「ホテル日航大阪」の試みもありました。1日3室(通常3万6000円以上)を大阪在住のファミリーに無料で提供する(朝食込み)企画を用意すると、応募者が殺到したといいます。

その数は3日間で1万件超との報道も。しかも公共交通を避けて来館できるように、駐車場も無料にしています(現在は応募終了)。

4月現在、武雄と嬉野のように、人を呼ぶキャンペーンは感染拡大を引き起こす一因にもなりかねないため、キャンペーン自体を取りやめる動きも出てきています。

一方で、応募者が殺到したホテル日航大阪など、今後使うことができるクーポンなどが順調に売れているケースもあります。「どこかに出かけたい」という気持ちを、みなさん辛抱強く抑えながら戦っている様子が伝わってきますね。

旅を愛する私たちとしては、宿や観光地などを応援したい気持ちがあるものの、外出の自粛が求められる現状では、「旅」や「おでかけ」をおすすめできません。そして、「しないでほしい」とさえ、お願いしたいような状況です。

しかし、不要不急のお出かけは控えるべき現在でも、見たり調べたりする分には、自粛も必要ないはず。いま気になるプロジェクトがあれば、公式ホームページで詳しい情報を調べてみてくださいね。

そして自由にお出かけを楽しめるようになったころ、その場所を訪れて宿や観光地を応援してみてはいかがでしょうか。

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翻訳家・ライター・編集者。成城大学文芸学部芸術学科卒。富山在住。主な訳書『クールジャパン一般常識』、新著(共著)『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日』。北陸のWebメディア『HOKUROKU』創刊編集長。WebsiteTwitter 

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