東京のすぐ隣にある非日常。千葉県の絶景スポットをローカル線でめぐる
いすみ鉄道で絶景の「養老渓谷」へ
「養老の滝」と聞けば有名な居酒屋チェーンを真っ先に思い浮かべたほどの無知な私ですが、正式な名称を「粟又の滝」で呼ばれる、房総きっての名勝なのだそうです。
なだらかな斜面を穏やかに滑るような姿の滝で、紅葉の名所でもあるのだとか。もっとも私が訪れたのは8月の非常に暑い一日でした。
いすみ鉄道の起点はJR外房線の大原駅。千葉県の東海岸側にありますが、東京駅から特急を利用すれば1時間17分で着きます。
いすみ鉄道に乗り換えると1両編成の電車が内陸部に向けて走っています。粟又の滝に行くには終点の上総中野駅からバスに乗るのがもっとも近道のようなのですが、私はあえて6駅手前の大多喜駅で電車を降りました。この駅からも粟又の滝行きのバスが出ているのです。
大多喜駅前に着くと、駅前に観光案内所がありました。するとそこにレンタサイクルの文字があることを見つけたので、バスに乗るつもりだった予定を変更して、自転車で滝に向かうことに。
普通のシティサイクルのレンタル代が1日300円、電動アシスト自転車が1日500円とあり、少し迷った末に電動アシスト自転車を選択したのですが、これが大正解でした。
大多喜駅から粟又の滝までは片道約13km。サイクリングとしてはまったく遠い距離ではないのですが、なにしろ山の中なので、かなりのアップダウンが連続するのです。
とても暑い日でしたので、普通の自転車だったら、根性なしの私はきっと滝に行きつくまでにギブアップしていたでしょう。
上り坂では電動アシスト自転車に背中を押してもらい、それほど汗だくにもならずに、2時間ほどで滝の周りに到着しました。
もっとも有名な粟又の滝以外にも、養老川と大小さまざまな滝が渓谷の景観を作り上げています。夏休みのせいか、川遊びをする家族連れでにぎわっていました。
ところで、大多喜駅の近くには徳川四天王の1人、本田忠勝の居城だった「大多喜城」があり、むしろこちらのほうが観光の目玉です。駅の近くにはかつての城下町の雰囲気を味わえる一角も保存されています。