東京都から石川県に移転。新旧の美しき西洋建築「国立工芸館」の魅力

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2022/07/09

段々と暖かさが増し、さらに街歩きが満喫できる時期がやってきました。なんとなく歩くだけでも気持ちが良いお散歩ですが、その醍醐味といえば「建物」も外せません。次々と目に飛び込んでくる建築物のなかには、長い歴史を重ねたようなものも見かけられますよね。

そんな建物のなかでも突出してユニークなのが「西洋建築」。明治時代に大きく盛り上がり、20世紀の初頭にかけて台頭した建築様式です。

今回は、日本らしさも加わって見応え抜群の「明治時代建造の建築物」のなかから2020年に石川県へ移転した「国立工芸館」をご紹介します。

※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。

引き継がれる伝統と歴史。生まれ変わった「国立工芸館」へ

近衛師団司令部庁舎(旧・東京国立近代美術館工芸館)/東京都千代田区

「東京国立近代美術館」image by:Kakidai, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

日本初の国立美術館である「東京国立近代美術館」を母体に、分館として1977(昭和52)年に誕生した「東京国立近代美術館工芸館」。

皇居に隣接するロケーションはもちろんのこと、一見してその歴史を感じられる赤レンガ造りの外観が最大の特徴として知られていました。

もともとの建物は、陸軍技師であった田村鎮氏により設計が行われた「近衛師団司令部庁舎」。

1910(明治43)年に完成したこの建物を採用するにあたり、1977(昭和52)年の工芸館開館の際には外観のみならず、広間や展示室などの全体へ改修が施されました。

「近衛師団司令部庁舎」image by:Kakidai, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

明治時代の完成当初と同様のゴシック調レンガ造りの外観や「スレート葺」製の屋根など、その佇まいはまさに「西洋建築」。

その言葉からイメージできる雰囲気がしっかりと残されており、この建物は重要文化財としても登録されています。


この外観と内容の見事さから多くの人が足を運び、都内でも指折りの美術館として人気を博していましたが、美術館としての機能を石川県金沢市へ移転

「工芸のまち」として知られる金沢市は新たな場所として相応しく、2020年に「国立工芸館」としてリニューアルスタートとなりました。

なお、旧・工芸館となる近衛師団司令部庁舎は、残念ながら現在一般公開を行なっておらず、その美しい外観のみ柵外から見ることが可能です。

東京メトロ東西線「竹橋駅」1B出口から徒歩で約8分という好アクセスのため、近くを通りかかったときには、その姿をそっとのぞいてみてはいかがでしょうか。

  • 近衛師団司令部庁舎(旧・東京国立近代美術館工芸館)
  • 東京都千代田区北の丸公園1-1
  • 東京メトロ東西線竹橋駅(徒歩約8分)

国立工芸館/石川県金沢市

金沢市に移転した「国立工芸館」image by:photoAC

東京への施設や文化が一極集中することを是正する「地方創生施策」の一環でもあり、石川県が誘致を提案したことで実現に繋がりました。

新たな場所は金沢市内でも突出した「文化エリア」として知られ、「日本三名園」のひとつに数えられる「兼六園」をはじめ、「金沢城公園」や「石川県立美術館」、「石川県立歴史博物館」など、文化施設が集中しています。

image by:photoAC

東京の近衛師団司令部庁舎と勝るとも劣らず素敵な雰囲気がただよう、国立工芸館。これらの建物はもともと金沢市にあった、国の登録有形文化財「旧陸軍第九師団司令部庁舎」(1898<明治31>年建造)と「旧陸軍金沢偕行社」(1909<明治42>年建造)を移築・復元したもの。

正面向かって右側の旧陸軍金沢偕行社が「管理棟」、左側の旧陸軍第九師団司令部庁舎が「展示棟」となっており、双方の間にはガラス張りの美しいエントランスが造られています。

陶磁、ガラス、漆工、木工、竹工など各分野の工芸・デザイン作品を所蔵。展示棟では、特定のテーマに基づいた所蔵作品展、特別展等を年4〜5回開催しています。

日本で唯一の工芸を専門とした国立美術館として、新たな地・金沢でもその存在感を存分に示すこと間違いなしといえる、「国立工芸館」。石川県へ足を運んだ際には、ぜひ立ち寄るべきスポットといえそうです。

「国立工芸館」へのアクセス方法は?

image by:photoAC

東京での歴史を終え、新たな地である「工芸のまち」石川県金沢市でスタートを切った「国立工芸館」。

公共交通機関を利用する場合、JR金沢駅の東口(兼六園口)からのアクセスは以下の通り。

北陸鉄道路線バス
  • 3番乗り場から18系統に乗車(約12分)、「広坂・21世紀美術館(石浦神社前)」下車徒歩7分
  • 7番乗り場から全系統乗車可能(約11分)、「広坂・21世紀美術館(しいのき迎賓館前)」下車徒歩9分
  • 6番乗り場から柳橋行を除く全系統乗車可能(約12分)、「出羽町」下車徒歩5分
城下まち金沢周遊バス(6番乗り場)
  • 右回り乗車(約18分)、「広坂・21世紀美術館(石浦神社前)」下車徒歩7分
  • 左回りに乗車(約20分)、「広坂・21世紀美術館(石浦神社向い)」下車徒歩7分
まちバス(土日祝のみ運行)
  • 5番乗り場から乗車(約20分)、「金沢21世紀美術館・兼六園(真弓坂口)」下車徒歩約7分

なお車でのアクセスの場合は、バスと同じくJR金沢駅の東口(兼六園口)から車で約10分。北陸自動車道金沢西ICまたは森本ICから約20〜30分ほど。

石川県立美術館や石川県立能楽堂など、国立工芸館周辺の文化施設共用駐車場(約250台)が無料で利用できます。

兼六園、石川県立美術館など周辺施設も魅力たっぷり。金沢旅行の際はぜひ時間をとって、文化施設めぐりを体験してみてください。

  • 国立工芸館
  • 石川県金沢市出羽町3-2
  • 050-5541-8600(ハローダイヤル)
  • 休館日:月曜日(祝日の場合は開館し、翌日休館)、展示替期間、年末年始
  • 9:30〜17:30(入館は17:00まで)
  • 公式サイト
  • image by:photoAC
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
  • ※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
  • ※本文に間違いがあり、訂正を行いました。(2022/7/6)
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美容師・ヘアメイクを経て映画業界に転身。フリーの記者カメラマンとして国内外のレッドカーペット取材や俳優インタビューを行いながら、来日イベントの企画運営・PR、記者会見や舞台挨拶のMCなど洋画をメインに活動。現在は育児のため仕事をセーブし、ライターとして幅広いジャンルの記事を執筆中。

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