世界で存在感を増す「日本ワイン」その中心地・山梨県勝沼ワイナリーを巡ってわかったこと

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2024/03/16

ナチュールワインの浸透に続いて、ここ近年、日本ワインがどんどん元気を増していると感じています。理想のワインを求めてワイン造りに力を注ぐ若い醸造家が増え、2023年国内のワイナリーの数はなんと468。2018年は331なので、5年間で137も増えていることに!

そんな日本ワインの盛り上がりを実感したいなら、ワイナリーに足を運んでみるのが一番。一昔前、ヨーロッパやカリフォルニアのワイナリーめぐりの旅が雑誌で華やかな特集記事となって紹介されていましたが、いつの間にか国内でそれが可能な時代になっているのをご存じでしょうか?

ということで、今回は山梨県、勝沼エリアのワイナリーめぐりをご紹介したいと思います。

山梨ワインのお話

背景に並ぶ山々が美しい田園風景の中に現れる、冬のブドウ畑 image by:小林繭

日本ワイン発祥の地である山梨県。ワイン醸造が行われたのは明治時代のことですが、ブドウ栽培は奈良時代にまで遡り、その歴史の古さに驚かされます。

現在、国内第一の生産高をほこり、その生産量は全体の3割。約100社ものワイナリーが集積する日本ワインの聖地であり、日本ワインを語るときになくてはならない重要な存在となっています。

中央道、勝沼ICを降りた途端、道の両側に並ぶ果樹園の景色にここがフルーツ王国山梨であることを実感すると思います。車の窓から眺めていると、次々と現れる大きな字で書かれたぶどう、もも、なしといった看板に目がとまりますが、

住宅地の道沿いにワイナリーが点在する勝沼ワインロード(勝手に命名) image by:小林繭

実はこのあたりはワイナリーショップが点在する場所でもあり、ときおり控えめにワインの文字も現れます。と言っても、本当になかなか控えめなので、かなり気をつけて見ていないと気がつきません。

ワイナリーと聞くと、何kmも手前から大きな看板が出てきて、広大なぶどう畑を背景に立派な門構えの建物、なんてイメージしている人も多いと思います。

歩けばまたワイナリーの看板。車を運転していると見過ごしてしまいそう  image by:小林繭

確かに、そういった大きなワイナリーもないわけではありませんが、多くはもっと小さなサイズ。個人や家族経営でワイン造りをするワイナリーが、販売や直接お客様とお話できるように設けている小売スペースを指しています。


店内に入るとこんなふうにずらりとワインが並ぶワイン棚があったりします。こちらは「丸藤葡萄酒」の棚  image by:小林繭

限られた本数しか製造していない小さなワイナリーのワインは全国の店頭に並ぶことはないので、ワイナリーに直接足を運ぶことによって出会えるワインの数がぐっと増えるのは言うまでもありません。

最近はネットで購入することもできる時代ではありますが、味や特徴を知った上で買い物できるのは現地に足を運ぶからこそ。

生産者さんと直接お話しできるので、作り手の顔が見えるというのもワイナリーを訪ねる大きな理由のひとつです。

道を歩いているといたるところにワイン樽 image by:小林繭

といっても山梨には本当にたくさんのワイナリーがあるので、どこに行くべきか迷います。アクセスがよいことと、効率よく一度に異なるタイプのワイナリーを見てまわれるのが勝沼。

勝沼インターを降りてすぐの県道308号には、1kmの間に「ダイヤモンド酒造」「くらむぼんワイン」「ホンジョーワイン」「イケダワイナリー」「勝沼醸造」の5軒のワイナリーショップが連なります。またこの県道からさらに範囲を南北へと広げると周辺にはおおよそ20を超えるワイナリーが点在。

イケダワイナリー

壁を彩る大きなブドウの絵が目印、「イケダワイナリー」  image by:小林繭

いくつかを紹介すると、県道308号のワインロード(勝手にワインロードと呼ばせてもらいます)に位置するブドウの絵が描かれた建物は「イケダワイナリー」。

1995年にワインの本場勝沼の地に誕生した家族経営のワイン醸造場で、『ワインをつうじて、造り手と飲み手の心が通い合う』を理念に掲げます。

「イケダワイナリー」の店内 image by:小林繭

勝沼の地で古くから栽培されてきた日本固有品種のブドウにこだわった高品質なワインにはファンも多く、全国の日本ワイン好きにその名を知られる存在です。

家族経営のワイナリーだけあって、迎えてくれるのは看板犬のラブラドールと、娘さんと思われるかわいいお嬢さん。こちらでは試飲も可能。それぞれのワインの特徴や製造法などの話を聞きながら好みの一本を見つけるのがおすすめです。

  • イケダワイナリー
  • 山梨県甲州市勝沼町下岩崎1943
  • 0553-44-2190
  • 定休日:不定休
  • 9:00~17:00
  • ホームページ

くらむぼんワイン

「くらむぼんワイン」のブドウ畑 image by:小林繭

「イケダワイナリー」からほど近く、築130年の日本家屋のワインサロンを持つのが「くらむぼんワイン」。時代の流れによって幾度も社名を変えながら100年以上も前からこの地でワイン造りを行うワイナリーです。

現在の「くらむぼん」という可愛らしい名前は、宮沢賢治の童話『やまなし』で蟹が話す言葉に由来しているもの。人間と自然の共存、科学の限界、他人への思いやりを童話で伝えた宮沢賢治に共感したのだそう。

「くらむぼんワイン」マスカットベリーA image by:小林繭

その名前からもわかるとおり、こちらでは徹底した自然栽培にこだわり、より土地やブドウの個性を多く残したワイン造りを行っています。

甲州やマスカットベーリーAといった地場のブドウの魅力がギュッと凝縮されたワインは、私たちの日々の食をより風味豊かに彩ってくれるもの。

社名をそのままブランドネームにした「KURAMBON」シリーズでは、蟹や魚、カワセミのイラストが描かれたラベルがとっても印象的。一度見たらきっと忘れません!

  • くらむぼんワイン
  • 山梨県甲州市勝沼町下岩崎835
  • 0553-44-0111
  • 勝沼ぶどう郷駅
  • 定休日:水曜/年末年始(仕込み期間などにより臨時休業もあり)
  • 平日:13:00~16:00(試飲受付15:30まで) 土日祝日:10:00~12:00(試飲受付11:30まで)/13:00~16:00(試飲受付15:30まで)
  • ホームページ

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