空港にもサウナが…日本とはこんなに違う、本場フィンランドのサウナ事情

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2024/09/27

フィンランドの隣国ノルウェーには「ボートサウナ」もある

ノルウェーで見られるボートサウナ。他のボートとともに係留 image by:シカマアキ

フィンランドの隣国であるノルウェーでは、ちょっと変わったサウナも見られます。海上に浮かせて移動も可能な「サウナボート」です。

ノルウェー極北の漁村ブゴイネスのボートサウナ。サウナ後は海へ image by:シカマアキ

サウナで身体が温まった後、氷河の浸食で形成されたフィヨルドの海に水着で飛び込むのが定番。外気より水温のほうが温かいとのことで、ノルウェーでは人気とのことです。

ノルウェーの首都オスロのサウナスポット「Badstuforening」image by:JWCohen/Shutterstock.com

ノルウェーの首都オスロにあるオスロ・オペラハウス前には、10以上ものサウナが浮くフローティングサウナが一大観光スポット。オスロを訪れる旅行者の人気を集めています。

サウナ起源は北極圏の先住民サーミ族、博物館で文化を知る

サーミ族の住居「コタ」は「Siida」の野外展示にある image by:シカマアキ

サウナの起源は、ラップランドの先住民であるサーミ族。テントのような円錐形の住居「コタ」の中で焚火をしたことと伝わります。

コタは、サーミ族の暮らしに欠かせないトナカイを追うのに一時的に使う場所。焚火をしたり、肉をスモークしたりするのに使ううち、そこで沐浴するようになったのが現代のサウナにつながるとされます。

フィンランド、イナリ・サーミ族の服装など image by:シカマアキ

フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、そしてロシアの4国にまたがる北欧の少数民族、サーミ族の歴史や独自の文化などは近年、注目を集めています。その集大成ともいえる場所が、フィンランドのイナリにある「Siida – Sámi Museum and Nature Center」です。「European Museum of the Year 2024」に選ばれた博物館でもあります。

サーミ族は、北極圏を中心に生活し、トナカイの飼育や狩猟などをして暮らす少数民族。身長が低く、黒髪と黒い瞳などが特徴です。言語のサーミ語は、他のヨーロッパ言語と全く異なります。

冬は内陸の山岳地帯、夏は沿岸部などへ移動して暮らします。4国で合計5~7万人いるとされています。居住地域によって「海岸サーミ」「トナカイ・サーミ」「森林サーミ」に分けられます。

サーミ族の原始的なサウナ。現在と似ている image by:シカマアキ

フィンランドのサーミ文化、その中心がイナリです。Siidaでは、サーミ族と北極圏の自然との強いつながり、文化や芸術などの展示が充実しています。夏には、サーミ族の住居などを再現した野外展示も見学可。ミュージアムショップやレストランなどもあります。


  • Siida – Sámi Museum and Nature Center
  • Inarintie 46, 99870 Inari, Finland
  • 入場料:大人15ユーロ/小中高生(7~17歳)7ユーロ/学生・年金受給者13ユーロ/6歳以下無料/家族チケット30ユーロ
  • 定休日:なし
  • 開館時間:6月1日~9月30日9:00~18:00/10月1日~5月31日10:00~17:00
  • ホームページ
ノルウェー北部のスコルト・サーミはスクエア・ダンスが特徴 image by:シカマアキ

キルケネスとブゴイネスの道中にあるネイデンに、この地域の先住民であるスコルト・サーミ族の博物館「Ä´vv Skolt Sami Museum」があります。

スコルト・サーミの文化を紹介する博物館がネイデンにある image by:シカマアキ

サーミ族は北欧3国とロシアにまたがって住み、スコルト・サーミ族は2000人あまり。北極圏の厳しい冬を生きる食生活や住居、カドリール(スクエア・ダンス)など独自の文化が詳しく紹介されています。

  • Ä´vv Skolt Sami Museum
  • 9930 Neiden, Norway
  • 入館料:大人100kr/シニア・グループ80kr/子ども・学生など無料
  • 休館日:月曜/土日/その他(同上 休みなし)
  • 開館時間:10:00~15:00(7月15日~8月31日9:30~16:30)
  • ホームページ

フィンランドでは空港のラウンジにもサウナがある

ヘルシンキ・ヴァンター空港、非シェンゲン出発エリアにあるフィンエアーラウンジの入口 image by:シカマアキ

フィンランドの玄関口、ヘルシンキ・ヴァンター空港を拠点とする航空会社、フィンエアー。そのフィンエアーのラウンジにもサウナがあります。

フィンエアーラウンジ「Platinum Wing」にあるサウナ image by:FINNAIR

2019年夏にオープンした「Platinum Wing」内にある、フィンランド式サウナ。空港のラウンジにサウナがあるのは、世界中でここだけです。冷却エリアやオーガニックスキンケアのアメニティなどもそろえ、自然に近い環境で、飛行機に搭乗する前に本格的なサウナ体験ができます。

シェンゲンエリアのフィンエアーラウンジは2024年7月リニューアル image by:シカマアキ

また、シェンゲンエリアのフィンエアーラウンジが、2024年7月にリニューアルオープン。以前の約2倍の広さとなり、滑走路ビューの眺めは抜群です。サウナはないもののシャワールームは完備され、軽食やアルコール類などのドリンクも充実し、搭乗前のひと時を快適に過ごすことができます。

非シェンゲンエリアの「Platinum Wing」は、日本行きをはじめとしたアジア便、イギリス行き、北米行きなどの搭乗前に、フィンエアープラスのプラチナ会員以上、およびワンワールドエメラルド会員が利用可。

また、隣接のビジネスラウンジも近年リニューアルされ、ビジネスクラス搭乗や、ワンワールドサファイア会員などが利用できます。さらに、シェンゲンエリアは、ヨーロッパ内など行きの便の搭乗前にラウンジ利用対象であれば入室可能です。


北極圏で大自然のサウナが体験、日本からもアクセス良好

ラップランドの冬はオーロラとサウナの両方が体験できる image by:Shutterstock.com

フィンランド人にとって、サウナは生活の一部。ホテルにはほぼ必ずサウナがあり、旅行者も気軽に本場のサウナが体験できます。

さらに北極圏では、川や海に飛び込んだり、真冬でも雪の中で外の水場に入ったりといった点は、日本ではほぼ体験できないことでしょう。サウナに入りながら男女が語りあう、また、サウナ後に初めて会った人とも気軽に交流するのも、フィンランド流です。

なお、北極圏へは、日本線を多く運航するフィンエアーが、ヘルシンキから最北の町イヴァロまで毎日運航。さらに2025年4月から、さらに北にあるノルウェーの街キルケネスまでの路線を開設します。

  • image by:Shutterstock.com
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
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ジャーナリスト・フォトグラファー。飛行機・空港、旅行、ホテル、グルメなどをメインに、国内外で取材、撮影などを行う。雑誌やWEB向けの記事、写真や旅行などのセミナー講師も務める。元全国紙記者。大阪在住。

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