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渋谷・道玄坂の由来は山賊だった? ハチが愛した渋谷の地名散歩

未知草ニハチロー(マタ旅散歩家)
未知草ニハチロー(マタ旅散歩家)
2016/11/23

昭和21年発売。隠れ名物『ハチ公ソース』

ハチ公ソースは地元の酒屋と東急東横店、東急ハンズ渋谷店などで買える(通販もあり)

ところで渋谷の隠れ名物の一つに、「ハチ公ソース」(ハチ公ソース株式会社)という商品があるのをご存じでしょうか。

販売開始は昭和21年。創業者の出身地が秋田犬・ハチと同じ秋田県であったことや、ハチの渋谷駅通いが話題になっていた昭和7年に、同社が創業地・新宿から渋谷(神南)に移転したことなどの縁から、戦争中の金属供出でハチ公像が取り払われたままになっていた戦後すぐの時期に、ハチ公ソースの販売を始めたのだそうです(渋谷駅前のハチ公像は2代目。初代は昭和9年に完成し、昭和19年に金属供出のため撤去。2代目は昭和23年完成)。

渋谷にはもうひとつの「ハチ公像」がある(白根記念渋谷区郷土博物館・文学館)
渋谷にはもうひとつの「ハチ公像」がある(白根記念渋谷区郷土博物館・文学館)

ハチ公ソース社は何度か移転した後、平成2年に本社機能を神山町に移し、現在に至っていますが、平成2年まではなんと富ヶ谷に社屋および工場があったのだそうです。

宇田川遊歩道沿い(神山町)にあるハチ公ソース株式会社
宇田川遊歩道沿い(神山町)にあるハチ公ソース株式会社

そして現在の本社も、松濤方面から続く前述の宇田川遊歩道に面した場所に位置しているのです。同社の前を通る宇田川遊歩道はそのまま、上野博士と別れた後のハチが過ごした富ヶ谷、同社の本社・工場があった富ヶ谷へと続いていきます。

同社の公式サイトには、ハチが晩年を過ごした富ヶ谷の植木屋さんのことには触れられていません。だからハチ公ソースが富ヶ谷で製造されていた(工場での製造は現在、委託)のは、たまたまの偶然なのかもしれませんが、この符合には驚くしかありません。

ハチの第2の故郷・松濤1丁目を静かに走り抜けるハチ公バス
ハチの第2の故郷・松濤1丁目を静かに走り抜けるハチ公バス

そんなことを胸の中で反芻しながら、ハチの足跡を訪ねる散歩を終えた筆者は、宇田川遊歩道沿いに渋谷駅方面へと向かいました。

そして宇田川遊歩道から旧大向通地区をたどりつつ、上野博士の自宅のあった松濤1丁目に差し掛かったときのことです。 後ろからきたハチ公バスが筆者を追い抜き、静かに去っていきました。思わずシャッターを切り、一枚だけ撮ることができました。

ハチ公バスの始発停留所(渋谷駅ハチ公口裏)
ハチ公バスの始発停留所(渋谷駅ハチ公口裏)

ハチのイラストが描かれた『ハチ公バス』は、旧大向・大向通(お迎え)を走り、渋谷駅へと向かっていくのです。

自販機にもハチ(渋谷駅ハチ公口裏)
自販機にもハチ(渋谷駅ハチ公口裏)

上野博士を送り迎えした懐かしい渋谷駅(2代目駅舎)が誕生して今年で96年目、ハチが誕生してから93年目、上野博士との別れから91年目、ハチが天国に召されてから81年目……。


ハチは今も、こんな形で、渋谷駅へと通っています。

 

*参考資料
『特別展 ハチ公』(白根記念渋谷区郷土博物館・文学館)、『渋谷区史』(渋谷区)、『東京の地名由来辞典』(竹内誠編・東京堂出版)、『ハチ公ソース株式会社・公式サイト』、『よこちょう朝日・2016年2月号』、『明治・大正・昭和世相史』(社会思想社)ほか

 

image by: ぱくたそ

未知草ニハチロー(マタ旅散歩家)

日本各地をマタ(股)旅散歩しながら、雑誌などにまちづくりのリポートをしている。裸の大将・山下清のように足の裏がブ厚くなるほど、各地を歩きまわる(散歩する)ことが目標。「未知草ニハチローのまちづくりのココロ訪問記」は地域ごとに現在進行形で行われている、まちづくりのココロを訪ねる小さな旅のシリーズ。

渋谷・道玄坂の由来は山賊だった? ハチが愛した渋谷の地名散歩
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