なんだろうこの懐かしさ。都内で食べる「台湾の駅弁」が密かなブーム
安くて、美味しいと評判の台湾の駅弁ですが、都内でも本格的な「台湾鉄道弁当」を食べられる場所があるんです。台湾へ旅行した気分になれる駅弁を食べに、錦糸町へ向かいました。一体、どんなお弁当が出てくるのでしょうか?
本場の「台湾鉄道弁当」を錦糸町で食す!
個人的になかなか足を運ぶことの少ない錦糸町ですが、「何としてでも行かなければ!」と胸の内をかきたてる「あるモノ」を知ってしまいました。 それが、「台湾鉄道弁当」。
日本にいながらにして、台湾の鉄道弁当が食べられるという「食べ鉄」体験ができるのは、錦糸町にある台湾料理店「劉の店」です。
JR錦糸町駅南口に隣接する「ピアきんしちょう」を歩くとすぐに見えます。
駅を背にして、通りの左側に見られる朱色の外観。その堂々とした店構えが台湾を彷彿とさせます。
食欲を増進する効果があるのは黄色とよくいわれますが、この朱色はご飯やおかずを「かきこみたくなる」気持ちにさせる…と常々思っているのは私だけでしょーか。
お店の中にもこの朱色が絵画や吉祥のお札、お酒ラベルなどに見られます。
さあ、こちらがお目当ての台湾鉄道弁当!蓋には台湾の列車が刻印されています。
レトロ感のあるアルミ製2段式のお弁当箱の留め具をはずすと、排骨(パーコー、骨付き豚バラ肉)がドーン!
それに寄り添うように煮卵、たくあん、いんげん、そしてお肉の下には高菜が。
おかずがのった上のお皿を取ると、キャベツと人参、干し海老を炒めたご飯が登場。
高菜をこの中に入れて混ぜ合わせると、海老や高菜が混じり合った複雑なかおりがたちのぼり、胃袋が「はよ、口に入れて!」と催促するのであります。
そして、排骨や卵などをご飯の上にのせて、準備完了。
排骨を一口かじってみると、ジューシーな甘辛のお肉に五香粉の風味が効いてる〜!!台湾や中国へ瞬間移動してしまいそうなこの香りと風味。感動ものです。
ちなみに、五香粉とは中国の代表的なミックススパイスで、シナモン、クローブ、カホクザンショウ、フェンネル、八角、陳皮などが配合されています。
骨から外したお肉とまんべんなくタレが染み渡っている煮卵をくずし、ご飯とおかずが渾然一体となったそれらを口に運ぶと、どんどんどんどん、そして黙々と集中して食べ進んでしまいます。(食べるヨガか!?)
あっさり味のスープは旨みを引き立てる、なくてはならないパートナー。
ところで最近、台湾を旅する人に種類も豊富な現地の鉄道弁当が人気なのだとか。排骨や煮卵が入っているものが多く、なかには素食(ベジタリアンフード)を使ったものも。
しかし、台湾の駅弁は昔からこんなに充実していたわけではなく、1970年代に取材で数回、台湾を訪れたジャーナリスト小野年夫さんによると 、
「台湾で初めて駅弁を買ったのは高雄駅のホームでした。昔の日本もそうだったように、弁当を入れた木箱を首から吊り下げた男性の販売員がホームを行ったり来たりしながら、古新聞で包んだ弁当を売っていました。台湾に来て、日本語の『弁当』ではなく、『便當』の文字を使うことも初めて知りました。台湾の鉄道は日本が創設したので、電車の運行から駅弁の販売まで、ほとんど日本のシステムのまま引き継がれたそうです。内容は白飯と唐揚げなどの素朴なおかず数種が半々でそれほど美味しいものではありませんでしたが、懐かしさを感じさせる味でしたね。その頃の弁当に排骨は入っていなかったですよ」
とのこと。
もしかしたら、台湾の駅弁は年々、ブラッシュアップされているのかもしれません。
お店の人に伺ったところ、台湾鉄道弁当はこのお店が開店した時からのメニューで、最近は台湾ファンや「食べ鉄」人気に牽引され、このお弁当を目当てにお店を訪れる人も増えたそう。
お弁当の見た目はボリュームがありそうに感じますが、実際に食してみると量は多からず少なからずといったところ。女性にはちょうどよいかも。
台湾の駅弁気分を味わいたい人はぜひ、錦糸町へ。
劉の店
東京都墨田区江東橋3-12-5 マスカットビル 1F
Tel: 03-5600-2118
公式サイト
- image by:御田けいこ
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