重箱の隅から食べないは本当?マナーの専門家に聞いたお節料理の作法

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2018/12/31

自家製にせよデパートなどで買ってきた品にせよ、年末年始はお節料理を食べる家が多いと思います。自分の家族と食べる分には問題ありませんが、例えば配偶者(婚約者)の家族とお節料理を食べる場合などには、意外にマナーを見られているかもしれません。せっかくの普段の評価を、そのような場面で下げたくはないですよね。

そこで今回はお節料理のマナーについて、クールジャパン講師会の会長にしてプロトコール(国際儀礼)の専門家である椎屋美根子さんに聞いてみました。

お節料理はそもそも何段重ねなの?

image by: beeboys / Shutterstock.com

お節料理と言うと、正月に食べる料理といった印象があると思います。しかし『広辞苑』(岩波書店)にも書かれている通り、本来は正月だけでなく、

<正月や節句のごちそうに用いる>(『広辞苑』より引用)

料理を意味するのですね。今でこそ端午の節句(5月5日)や重陽の節句(9月9日)などのごちそうとしては食べませんが、正月にはまだまだ食べる家が多いはず。とはいえ、それだけ親しみ深いお節料理でも、分からない点がいっぱいありますよね。

例えば、重箱はそもそも何段重ねるスタイルが正しいのでしょうか。三段重ねだったり、五段重ねだったり、四段重ねだったり、見かけるお節料理はまちまちのような気がします。その点を椎屋さんに聞いてみると、

「口取り(祝い品)の料理、焼き物、酢の物、煮物を一の重、二の重、三の重、与の重に詰めます」

という一般的なルールがあると教えてくれました。。口取りの料理には黒豆(まめまめしく働くの意)、数の子(子孫繁栄の意)、ごまめ(田作り。稲作繁栄の意)、栗きんとん(お金の意)、紅白かまぼこなどが代表的で、焼き物はブリ(出世魚)、エビ(腰が曲がるまで長生きの意)、タイ(めでたいの意)などの海の幸が中心。酢のものはレンコン(見通しが良いの意)などになると言います。

image by: norikko / Shutterstock.com

現在では、四段重ねが主流となり、四(し) が死を意味して縁起の悪い数字であるため、与(よ) の重と呼んで縁起をかついでいます。しかし、日本では古くから奇数が縁起の良い数字とされ、 昔は五段重ねのお重が使われていたようです。お節料理をお重に詰めるようになった時期は、 江戸時代後期とも言われていますが、当時、五の重には補充する料理を入れていたり、 神様の福をいただくために空にしたり、 甘味の物を詰める地方もあったりしたようです」

その意味では四段重ねが現代の主流で、昔の流儀に特別に沿うのであれば五段重ねにしてもいいみたいですね。一方で、

最近では、デパートなどでお節料理を発注する人が増えていて、 三の重だけのご家庭も増えているようです。料理も本来の二と三に詰める料理が一緒に詰められたりしています 」

と、時代に合った形でお節料理の重ね方は変わっているみたいですね。

お節料理の食べ方は?

次はお節の食べ方を整理してみましょう。お重はそもそも重ねたまま食べるのでしょうか。それとも広げて食べるのでしょうか?


一般的に重箱は全部広げて、一の重から食します。旧家などでは座卓を使わず、 和室で一人に1つずつお重を準備するところもあります。現在で五の重をお持ちの方は、 旧家か重箱を特注する人だけだと思います。五の重をお持ちの方には、その家に伝わる使い方があります」

image by: Peter Austin / Shutterstock.com

では、お重の中の料理は、どのように食べればいいのでしょうか。一部には重箱の隅の食べ物に最初から手をつけてはいけないといった情報もあります。その点を聞いてみると、

一の重の料理は、おめでたいいわれの料理ばかりなので、 どれから食べても差し支えないです。ただ、『隅をつつくな」』と言うことわざがあるように、最初から四隅は控えるのが良いでしょう」

と教えてくれました。ちなみにお節料理に用いられるはしは丸はしが正式で、

「お正月の丸はしは三が日使うため、食べ終わったら(洗って) 各自のはしを元のはし袋に入れておきます

との話でした。

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