重箱の隅から食べないは本当?マナーの専門家に聞いたお節料理の作法
正月に飲むお酒「お屠蘇(おとそ)」のいただき方とは
お節料理の基本的なマナーを紹介しましたが、お節料理の前には、お屠蘇(おとそ)をいただきます。おとそのマナーも不安だらけですよね。そもそもおとそには、
「1年の邪気を払う意味があります」
との話。飲む順番に関するオーソドックスなルールとしては、
「年少の者から順に飲んで、杯を年長者に渡していきます。注ぎ方としては、最年長者が最年少者に杯を渡し、おとそを注ぎます。最年少者は飲み干したら、自分の次に年少の人間に杯を渡し、最年少者が年少者に注ぐといった順番になります」
と言います。ただ、皆で口をつけて回し飲みするため、家族に厄年の人が居る場合、その人は年齢に関係なく最後に飲むというルールがあるようです。杯については両手のひらで縁を支えるように持ち、両手で飲んで、 両手で次の人に渡すといった感じ。飲み方と注ぎ方としては、
「大中小の杯に1回ずつ注いでもらい、それぞれを一気(1回)で飲み干します。正式なとそ器が無い場合や、 1つの杯でおとそを飲む場合は、1、2、3と3回に分けて注ぎ、 飲む人も3回に分けて飲み干します」
と教えてくれました。
お雑煮はいつ食べる?お節料理のあと?
最後に、お雑煮についても聞きました。元旦には家族がそろい新年のあいさつを交わします。その後でおとそをいただき、お節料理を食べ始めるのですが、お雑煮に関してはいつ食べ始めればいいのでしょうか?
「本来はお節料理の最後に食べますが、一緒でも構いません」
例えば配偶者の実家でお雑煮がお節料理と一緒に出てきた場合は、その流れの通り、一緒に食べてしまっても構わないとの話でした。
以上、お節料理のマナーなどを紹介しましたが、いかがでしたか?そろそろマスターしたいお節料理の美しい食べ方。特にあらたまったマナーが求められる相手とお節料理をいただく場面では、いつも以上に気を巡らせて、美しい所作でお祝いの膳(ぜん)を楽しみたいですね。
- 取材協力
- 椎屋美根子・・・クールジャパン講師会会長。海外でのVIP接遇を経て、プロトコール(国際儀礼)を身につける。2011年人材育成事業『Office Heartful Manner』を起業し、国内外において講習、研修を行う。「日本の美徳文化」の継承には、多くの方の参加・体験が必要と考え、2014年、「クールジャパン講師会」を設立。国際交流基金アジアセンターの助成を受けながら、次世代や文化の異なる外国人に、正しい日本理解につながる活動を積極的に行う。
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