お年玉が「お餅」だった?現代とは違う、江戸時代の年末年始の常識
江戸時代の庶民は、大みそかまで借金に追われていた
大みそかは、どのように過ごしていますか?多くの人が休みのため、誰もがプライベートモード。どこかいつもと異なるお祭り気分を味わいながら、一方で年末年始特有の厳かさを感じつつ、それぞれの場所で過ごしていると思います。
しかし、江戸時代の大みそかは、いまと違ってぎりぎりまで庶民は忙しく働き、さまざまな雑事に忙殺されていたといいます。
<江戸の庶民たちは、大晦日まで新年の用意や借金取りの対応などで、忙しく立ち働いて、除夜の鐘が聞こえる頃にやっと就寝して、元日を迎える>(『年中行事大辞典』(吉川弘文館)より引用)
借金を取り立てる側の商人になるともっとひどく、大みそかにも夜を徹して商いの整理を行い、夜が白むころ(元旦)にようやく眠りにつける状態だったそう。
まだまだ完ぺきとはいえませんが、働き方改革など、労働者の権利を守る動きが長い歴史をかけて少しずつ認められてきている現代。その感覚からすると、大みそかの夜まで徹夜で働いていた江戸時代の労働環境は、なかなか過酷に思えますよね。
ちなみに江戸では、初夢を1月2日の深夜に見る夢としていました。その理由は、上述のように元旦まで商人は忙しくしていたから。
ほぼ徹夜で迎えた元日は、半ばうたた寝状態のまま1日を過ごします。その上で初めてようやくしっかり寝られるタイミングが、1月1日から1月2日の朝にかけて。
そのときに見る夢を初夢と呼び、その日に江戸では吉兆の夢を見られるようにと、枕の下に宝船を描いた絵を入れたのですね。
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