東京の赤羽から始まった?日本と世界のコインランドリーの歴史
世界初のコインランドリーはイギリス?アメリカ?
一方で、世界のコインランドリーの歴史はどうなっているのでしょうか。
日本では1950年代だと分かりますが、それ以前からアメリカやイギリスでは洗濯機が普及しています。そう考えると、コインランドリーもアメリカやイギリスで生まれたと予想されますが、どうなのでしょう。
コインランドリーの歴史刊行委員会が編さんした『コインランドリーの歴史』の外国編を見ると、やはりコインランドリーの始まりはイギリスやアメリカが中心になっていると分かります。
資料によれば1930年ごろ、イギリスのロンドンにあるアパートの地下に居住者用の洗濯機を置いたところから、コインランドリーの歴史が始まると書かれています。
しかし、この洗濯機はあくまでも住人用。広く市民の利用を促す現在のコインランドリーとは違います。
実際にBBC放送(英国)も、コインランドリーの歴史について、
<This is Britain’s first self-service coin-operated launderette, which opened in 1949.>(BBCの公式ホームページより引用)
(これが英国初の無人コインランドリーで、1949年にオープンした)
と報じています。「これ」とは、西ロンドンのクイーンズ・ウェイにあるコインランドリーを意味しています。つまり、英国初のコインランドリーは1930年ごろではなく、1949年(日本では昭和24年)なのですね。
英国では1949年ですが、世界ではもっと早い段階にコインランドリーが生まれています。
『コインランドリーの歴史』によれば、1934年(日本では昭和9年)のアメリカが生誕地らしく、
<米国テキサス州に、初のコインランドリーが登場>(『コインランドリーの歴史』より引用)
と書かれています。米ランドリー・ソリューション・カンパニーによると、
<The true history of laundromats begins in Fort Worth, Texas during the Great Depression.>(米ランドリー・ソリューション・カンパニー社の公式ホームページより引用)
(コインランドリーにおける真の歴史の始まりは、テキサスのフォート・ワースにおいてです。大恐慌の最中でした)
とされています。大恐慌は1929年に起きた、世界史の教科書にも掲載される出来事です。その不況のさなか、個人で洗濯機を購入する余裕がない人たちに、コインランドリーは大ヒットしたようです。
1955年にはコインランドリー市場が過熱し始め、6,400カ所あったお店が1962年までに、31,000店まで爆発的に増えています。
日本にコインランドリーが誕生した時期は、まさにこのタイミング。アメリカでの大ヒットの余波が、日本まで伝わったと考えられます。
『コインランドリーの歴史』によれば、1989年にはアメリカで約50,000店のコインランドリーが存在していたといいます。
出典によって異なりますが、現在は米コインランドリー協会によると29,500店。約100年前にアメリカのテキサス州で生まれたコインランドリーは、世界各地で一大産業に発展した歴史があるのですね。
- 参考
- コインオペレーションクリーニング営業施設に関する調査-厚生労働省
- The rise and fall of the launderette-BBC
- INDUSTRY OVERVIEW Coin Laundry Association
- コインランドリーの歴史刊行委員会編さん『コインランドリーの歴史』
- 清水慶著『あこがれの家電時代』(河出房新社)
- 三原淳著『はじめてのコインランドリー投資 負けナシバイブル』(ARUMAT)
- image by:Muhammad Anuar bin Jamal / Shutterstock.com
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