「お子さまランチ」発祥の地はどこ?意外と知らない身近な食べ物の由来・歴史
レトルト食品の「レトルト」って何?
続いては美味しくて便利な「レトルト食品」について。この「レトルト(retort)」の意味は、何なのでしょうか。
日本人も当たり前に使っていますが 『広辞苑』を調べると、もともとはオランダ、イギリスの言葉だと分かります。
<大気圧以上の圧力を用いて、110~140度で缶詰・袋詰食品などを加熱・殺菌する装置。殺菌釜>(『広辞苑』より引用)
調理済みの食品を特殊なフィルムの袋に入れ、加熱・殺菌した食べ物を、レトルト食品というのですね。
ただ、この説明だけだと、肝心の「レトルト」という言葉の意味が分かりません。『広辞苑』には、レトルト食品の説明として、レトルト・パウチ食品という言葉も書かれています。パウチとは「pouch」とも書き、
<(小袋の意)食品やカードを密閉保護するプラスチック製などの袋やシート>(『広辞苑』より引用)
といった意味になります。
この食品が入った袋を、「蒸留器」や「加圧加熱殺菌釜」といった意味もあるレトルトで殺菌した食べ物をレトルト・パウチ商品、略してレトルト食品と呼ぶのですね。
歴史としては、1950年代にアメリカで軍用の食事として誕生し、後の1968(昭和43)年には、日本にもレトルトカレーの形で入ってきます。
そこから一気に利用が広まり、いまでは料理だけでなく、お米、調味料、ソースなど、いろいろな食品が密閉された袋(パウチ)の中に入れられ、レトルト(殺菌釜)で殺菌されてから、市販化されます。
マイボイスコムが実施した「レトルト食品の利用に関するアンケート調査(第7回)」によれば、月に2~3回程度、カレーを中心にレトルト食品を食べる人が、日本人には最も多いみたいです。
確かに便利なレトルト食品。毎日となるとさすがにきついかもしれませんが、たまに食べる分には手軽では早くて、便利ですよね。
ただし、英語圏ではレトルトと使わず「プレ・パッケージド・フード(pre-packaged food)」というのが一般的。レトルト(retort)というと、「言い返す」「反論する」という意味に捉えられるので注意しておきたいですね。