まだ日本人が知らない世界遺産の都市「コトル」は歴史と自然に囲まれた絶景の穴場

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2024/09/11

バルカン半島の南西、アドリア海を挟んでイタリアの対岸に位置する「モンテネグロ」は、山と海に囲まれた自然豊かな大変美しい国です。隣国には、近年観光立国として発展が目覚ましいクロアチアがあります。

クロアチアとくらべると、日本人にはあまり知られていないモンテネグロですが、世界遺産の街「コトル」は、複雑な海岸線と背後の山々に囲まれた歴史ある城塞港湾都市です。

石畳の路地や美しい教会が建ち並らぶ旧市街に、山に沿って築かれた城塞から眺めるコトル湾の眺めも素晴らしいですよ。

ユネスコ世界遺産に登録されている「コトル」

image by:石黒まり花

前方は湾、背後は険しい山々に囲まれたコトル。天然の要塞に囲まれて、それらを十分に活かした堅牢城塞は、まさに難攻不落と呼べるものです。「コトルの自然と文化歴史地域」として1979年に、世界遺産へ登録されました。

image by:Aleksei Golovanov/Shutterstock.com

コトル旧市街はこの城塞の中に築かれていて、旧市街へつながる門は、正門・南門・北門の全部で3つ。

大半の観光客が出入りする正門(Sea gate)は「海の門」とも呼ばれ、かつては海から船が出入りするための門でした。現在は埋め立てられ、もっぱら観光客の記念撮影スポットのひとつです。

ほかにも謎の巨大人形が出迎えてくれる南門に、「ここにあったの?」と思うくらい分かりづらいところにありますが、とても幻想的な雰囲気を漂わせる北門があります。

コトル旧市街の石畳の路地と趣のある建造物

image by:石黒まり花

城塞を通ると、そこは石畳の路地が入り組み、中世の古い街並が建ち並びます。これらの建物は、当時貿易で栄えた商人たちによって建てられました。

赤茶色の屋根と白の石造りで統一された建物が城塞内にぎっしり続くさまを見ると、まるで中世の街にタイムスリップしたかのような感じがします。


とても保存状態が良く、現在はレストランやホテル、博物館などに改装され、当時の建物がそのまま活かされているのが印象的です。

コトル一美しい教会聖「トリプン大聖堂」へ

image by:石黒まり花

城塞の旧市街最大の目玉といえば「聖トリプン大聖堂」です。1166年に建造されたこの大聖堂は、ロマネスク様式やバロック様式など、さまざまな建築様式が合わさり、とてもエレガントな外観。

image by:Oscar Espinosa/Shutterstock.com

内部は、重厚な石造りに金細工が施された祭壇や古いフレスコ画が目を引きます。ぜひ足を運んでいただきたいのが2階の「聖遺物展示室」。金色に輝く聖具や書物、釣鐘などが展示されています。

また、繊細なレリーフの柱頭を持つ柱やアーチ、当時のベネチア商人たちによって運び込まれた絵画や宝飾品、衣装の数々なども見ることができます。


コトル観光でハズせない「城壁散策」

image by:石黒まり花

コトル観光最大のハイライトは、やはり城壁散策でしょう。全長約4.5kmにもおよぶコトルの城壁の頂上まで登り、コトル湾を一望するショートトレッキングコースは、コトル観光で最も人気があります。

頂上にある「聖ヨハンの要塞」まで、片道45分~1時間かけて、階段をひたすら登っていきます。頂上までのルートは「北門ルート」と「サラダ広場ルート」がありますが、どちらも頂上までの所要時間は同じくらいです。

道はある程度整備されておりますが、何しろ傾斜のある階段をのぼり続けることは結構ハードです。体力に自信のないかたは、山腹からの眺めも素晴らしいので、途中まででも良いかもしれません。

image by:Shutterstock.com

苦労して登った先には、息を飲むほどの絶景が待っています!コトル湾と旧市街が一望でき、それらの景色はまるで絵はがきを見ているのかと思うほどです。複雑な海岸線と壮大な山々の景色は、ときを忘れて眺め続けてしまいます。

クロアチアからの日帰り旅行もおすすめ

image by:石黒まり花

コトルはクロアチアとの国境近くにあります。世界的観光都市であるドブロブニクから、バスで約2時間で行くことができますよ。ドブロブニクも景観美しい城塞都市であるため、コトルと合わせて楽しむのがおすすめです。

コトルまでの道中もコトル湾の美しい海岸線沿いを走るため、車窓からの風景も存分に楽しめます。さらに余裕があるかたは、ドブロブニクでレンタカーを借りるのも良いでしょう。コトルまでほぼ1本道なため、初めて通る道でも迷うことは少ないですよ。

image by:Shutterstock.com

筆者は、レンタカーでゆっくりコトル湾の景色を楽しみながら行きました。バスだと本数が限られ、さらに夜の便は出ていないので、1日たっぷりコトルを楽しみたいかたには車がおすすめです。

これだけの魅力がつまったコトルですが、日本ではまだまだコトル観光について情報が少ないのが現状です。ドブロブニクまで行ったのに、コトルは見逃してしまったというもったいない話も良く聞きます。

アドリア海の最深部には、中世の面影を色濃く残し、自然と見事なまでに調和された美しい街があることを、ぜひ覚えてもらいたいです。

ドブロブニクほど活気があるわけではありませんが、旧市街は落ち着いた雰囲気ですよ。簡単な英語であればある程度通じますし、人々はとても穏やかでフレンドリーです。

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元々インドア派だったはずが『恋する惑星』でウォン・カーウァイにハマり、初めての一人旅は上海へ。カメラ片手にどこへでも行くアクティブ旅女子になりました。現在は大学院に通いつつフリーライターとして、旅・アート・美容・ファッションをメインに活動しています。

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