ネギ丸ごと一本がお箸!?大内宿の変わり種グルメ「ねぎそば」の歴史
夫婦の未来や子孫繁栄を願う「ねぎそば」
<大内宿三澤屋では蕎麦に長ネギ一本添えて掬っていただくことをご提案させていただきました>(三澤屋の公式ホームページより引用)
今日の大内宿は晴れ紅葉はまだこれからな感じですが、おそばが新そばになりました(*´∀`*)ノぜひぜひ食べに来て下さい pic.twitter.com/VORyfeKVGm
大内宿三澤屋 (@oouchijyuku) October 16, 2021
このそばが、大内宿で後に名物となる「ねぎそば」の始まりです。
食べ方の由来は、細く長い夫婦の未来や子孫繁栄を願う「そば口上」の存在をお店側がお客から耳にして(「そば口上」の信ぴょう性については後述)、メニューに取り入れたところから始まったと、同店が過去のインタビュー記事で答えています。
「そば口上」とは、婚礼の席や子どもの生誕祝いにおけるお祝い口上の一種。そばの入ったお椀をお盆に乗せ、そのお盆を持って口上を述べる地域の伝統だといわれています。
口上の際に、お盆に乗せるお椀の中にはネギが立っているとの情報もあります。ネギが男性を意味し、そばが女性を意味するため、子孫繁栄の願いも込められるとの話も。
その「伝統」をヒントに一種の集客の手段として、根の曲がった太いネギが「大内宿 三澤屋」で、お箸代わりに用いられるようになり、他店にも広まったのですね。
「そば口上」はいつごろから始まった?
とはいえ「大内宿 三澤屋」が参考にしたとされる「そば口上」の由来や始まりについては、正確でない部分もあるようです。
大内宿のある下郷町の教育委員会事務局文化財係に「そば口上」の由来について聞くと、下郷町において一般的な文化ではないとのコメントがありました。少なくとも下郷町史には記述が見られないみたいです。
下郷町役場総合政策課商工観光係(観光協会事務局)に問い合わせても「そば口上」に関する情報はないとの話でした。あくまでも「各そば店舗の営業上の工夫による」のではないかとの話。
さすがにお店側の創作とまでは考えられませんが(「そば口上」の実演はYouTubeでも確認できる)営業上の工夫としてそば屋が始めた食べ方なのですから、この辺りの出どころについてこれ以上追求しても野暮というもの。
なんであれ、長野から福島にそばが伝わり、高遠そばが根付きます。その高遠そばをネギのお箸で食べる「ねぎそば」が、大内宿のそば屋の工夫で生まれ広まったわけです。
ちなみに気になる食べ方について、下郷町役場総合政策課商工観光係(観光協会事務局)に聞くと、食べ方の作法は各店で異なるとの話。
元祖ともいえる「三澤屋」の店主を取材した『at home VOX』によると、ネギの根元の曲がった部分ですくって食べる方法が同店ではオーソドックスだと紹介されています。
もちろん「ねぎそば」には普通のお箸もついてきます。ネギは薬味にもなるので、青い部分の手前まで食べる一部の常連もいるようですが、先端の根曲がりの部分を食べるまではネギで食べ、先端を食べた後はお箸に切り替えて食べてみるといいかもしれませんね。
- 参考
- 【大内宿】大和屋(やまとや) – おいでも!南会津。
- 大内宿三澤屋
- ねぎそば 福島県下郷町 ネギ1本を箸代わりに – 毎日新聞
- 下郷町大内宿(福島県)
- 会津地葱(あいづじねぎ) – 会津の伝統野菜を守る会
- 「そば口上」の文化 – 大阪・上方の蕎麦
- そばを「ねぎ」で食べる!? 「テラスハウス」で共に暮らした二人が奇想天外・会津旅
- 野菜が箸代わり? インパクト抜群の福島県大内宿の「高遠そば」 – at home VOX
- 信州そば「発祥地は伊那」 市など主張、イベントでPRへ – 信濃毎日新聞
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