他県民が絶対に読めない、地元民には当たり前の全国「難読地名」クイズ

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2023/02/17

Q.岩手県の「江牛」なんて読む?

二戸駅停車中の「青い森鉄道701系」image by:photoAC

岩手県の北部に二戸市があります。青森県との県境がすぐ北にあり、青森側には三戸、さらに北上すると八戸があります。

逆に、岩手県の二戸から南へ進むと一戸があり、その東には九戸があるので、この周辺には一戸から九戸が密集しているのですね。厳密にいうと四戸だけが現存しません。

そのうちのひとつである、二戸に合併吸収された浄法寺町という地名がありました。現在の住所表記では、二戸市浄法寺町となっていますが、農業集落の地域単位として「江牛」というエリアが同町には古くから存在します。

農業集落とは、

<自然発生的に存在する地域社会で、家と家が地縁的、血縁的に結びつき、各種の集団や社会関係を形成してきた社会生活の基礎的な単位>(農林水産省の資料より引用)

です。では「江牛」がなんと読むか、皆さんご存じですか?

浄法寺町にある「天台寺」image by:photoAC

A.江牛(えろす)

テレビ朝日の番組『ナニコレ珍百景』によると、コミュニティバス(手倉森・江牛線)のバス停が江牛地域に存在し、バス停名も「えろす」と読むのだとか。

『角川日本地名大辞典』『日本歴史地名大系』の岩手県版にももちろん「江牛村(えろすむら)」「江牛村(えろしむら)」として掲載されています。

この語源は何なのでしょう。1803(享和3)年の史料には「エロウシ」との仮名が付されていました。しかし、明治初年の『新撰陸奥国誌』では「エロウシが何の意味をなすか分からない」と、当時の言葉で書いてあります。

1875(明治8)年に浄法寺村に合併され、江牛村は住所として消滅します。とはいえ現在でも、コミュニティのなかでは「エロウシ」「エロス」の呼び名が生き残っているのですね。


Q.青森県の「哘」なんて読む?

国指定史跡「七戸城」image by:photolibrary

先ほど、岩手県北部と青森県の東部には、四戸をのぞいて一戸から九戸までが存在するとお伝えしました。もちろん七戸もあります。

十和田の北、天間林村と七戸町が合併する形で、2005(平成17)年に新しい七戸町になりました。その七戸町内の旧・天間林村だった場所に、「」という住所があります。この土地にルーツを持つ人たちのなかには、哘という珍しい名字の人もいるみたいですね。

「七戸城」の東門。image by:photolibrary

A.哘(さそう)

難しい漢字なので、「哘」の文字を漢字辞典で調べてみました。意味は「誘う」で、多くは地名に用いると書かれています。

<「口+行」。一緒に行こうと誘う意>(学研『漢字源』より引用)

さらに国字でもあるのだとか。この国字とは、日本でつくられたオリジナルの漢字という意味です。しかし、この地名の由来については『角川日本地名大辞典』にも『日本歴史地名大系』にも記載がありません。

天間林村の旧名である天間館村の解説のなかに、支村として哘の地名が書かれているだけ。江戸時代の寛政年間(1789~1801年)の家数はわずか7軒だったそうです。

ちなみにこの少なさは、1782~1787年に発生した天明の飢饉直後という時代背景も。青森を含む奥羽地方では冷害がひどく、とくに飢えがひどかったそうです。

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