日本屈指のパワースポット「恐山」で極楽と地獄を一度に味わう特別な体験
日本三大霊山のひとつである「恐山(おそれざん)」。青森県きっての名所で、ゴツゴツとした石の大地が続き、その先には川が流れ、日本屈指のパワースポットとしても有名です。
そんな神秘的なイメージの強い恐山ですが、実は美しい極楽があることをご存じでしょうか。
地獄の先にある景色はどう見ても地獄には見えない、まるで極楽のように感じるとても美しい場所です。今回は青森県「恐山」で極楽と地獄を一度に味わう特別な体験をご紹介していきます。
目次
日本三大霊山のひとつ「恐山」とは?
国内有数のパワースポットのひとつとして知られる「恐山霊場/恐山菩提寺」。本州の最北部である下北半島の中心に位置しており、昔から「死者の魂はこの恐山に集まる」と、地元では言い伝えられる場所です。
「恐山」という名称は山の名前ではなく、カルデラ湖である「宇曽利山湖(うそりさんこ)」を中心とした外輪山全体のことを指します。
カルデラ湖があることから分かるように、火山活動によって作られた地形です。活火山とはいうものの、噴火したのは約1万年以上も前のことと考えられているので、火山活動の心配はありません。
カルデラ湖である宇曽利湖の湖畔に「恐山菩提寺」が鎮座しており、いまから約1200年前に、慈覚大師円仁(じかくだいし・えんにん)によって開山されました。
この場所に開山された理由は、夢の中でのお告げだったと伝えられています。
「あの世とこの世の境目」といわれたり、「イタコ」が存在したりと、昔から不思議な言い伝えや現象が多いのがこの恐山です。
景色は確かに地獄のよう?
恐山が地獄といわれる理由は、その景観にあります。恐山は山とはいうものの木の生い茂った緑の山ではなく、石ころの転がる荒涼とした石の大地が特徴。
火山が生み出した灰色の景色が、この世の終わりのように見えることから、いつの頃からか恐山周辺には地獄があるといわれるようになりました。
また、恐山周辺は温泉が湧き出しているため、硫黄の臭いがとても強いのも地獄を思い起こさせる要因となったのでしょう。
鼻をつく空気が違う、目の前に広がる景色も通常の山とは大きく異なるため、昔の人々が恐山を畏怖の対象として見ていたことも納得がいきます。
橋を渡り「三途川」を越える
駐車場から恐山へ向かう途中、硫黄の臭いが強くなるなかで最初に現れるのが「三途川(さんずのかわ)」と「赤い太鼓橋」です。
恐山のすぐ側を流れる三途川は、元の名前を「正津川」といいます。この川を渡りきってしまうと、その先に広がるのはあの世と考えられており、渡ると向こう岸はすでに霊場となるので、この太鼓橋がこの世とあの世の境目とされてきました。
三途の川のほとりには、亡くなった人が三途の川を渡る際に出会うとされる「奪衣婆(だつえば)」と「懸衣翁(けんえおう)」の像も。亡くなった人の衣服を剥ぎ取り、生前の罪の深さを見るとされています。
実際に訪れてみると、背筋がピッと伸びる思いがします。
108もの地獄めぐり
地獄と一言でいうものの、地獄の数はひとつではありません。恐山には108もの地獄があり、それぞれに分かりやすく看板が建てられています。
「地獄に種類!?」と驚くかもしれませんが、仏教の考え方でも地獄には8つの種類があります。
恐山にはそれを超える108の地獄があるわけですが、ゴツゴツとした岩の風景に仏教の考える地獄の名前が付けられています。この108の地獄を回ることを「地獄めぐり」と呼び、恐山観光の見どころのひとつのなっています。
地獄めぐりの最中には、岩の間からもくもくと煙が上がる場所も見られます。これは硫黄の煙で、近くで直接吸い込まないようにと注意書きも立てられています。
地獄を抜けると「極楽浜」が
石の大地を抜けると、その先に現れるのは美しい湖畔の風景。ここが「極楽浜」です。
どう見ても地獄には見えない美しい景色は、自然豊かな森の湖を訪れたかのよう。目の前には白い浜の広がる透明な湖、振り返ると岩の大地と確かに、地獄から極楽へと抜けたかのような雰囲気が味わえます。
カルデラ湖である宇曽利山湖は、真っ青な湖面が特徴。透明度がとても高く、よく晴れた日には白い浜と相まってまるで南国のビーチを訪れたかのような雰囲気が漂います。
この浜にパラソルがあってもまったく違和感のない、そんな美しい湖です。
ちなみに「宇曽利山湖」という名前の語源は、アイヌ語なんだとか。「くぼみ」を表す「ウショロ(ウソロ)」というアイヌ語がもとになっているとされています。
生き物のほとんどが生息できない湖
湖面も穏やかで透明度も高く、景色の美しい宇曽利山湖ですが、実はその水質は生き物のほとんどが生息できない酸性。
宇曽利山湖の水質のpH値は3.5と、自然の生み出す水質としては異常値とされています。pH3.5というのはお酢などと同じくらいの値だそうで、普通の生き物は生息できない環境とされています。
しかしそのなかでも生きられるように進化を遂げた魚がいます。それが「ウグイ」または「恐山ウグイ」と呼ばれる魚で、宇曽利山湖の過酷な環境に適応し生息している唯一の魚です。
同じウグイであっても、他の地域から連れてこられたものはすぐに亡くなってしまうのだとか。とても不思議ですよね。
世界でもっとも強い酸性の湖に生きる不思議なウグイは、湖に近づいてみると見えることも。
展望台から極楽浜を眺めよう
極楽浜を散策し、東日本大震災供養塔に手を合わせたら、浜を眺められる展望台へと進みましょう。
浜から数分歩いたところにある「五智山展望台」は見晴らしのよい絶景スポット。宇曽利山湖とその周辺、恐山を一望できる場所です。
地獄と極楽が一緒に見られる展望台には五智如来像がお祀りされています。景色を見る際には、先に手を合わせておきましょう。
地獄と極楽が同時に見られる恐山
一生に一度は訪れてみたい、日本三大霊場のひとつ恐山菩提寺「恐山」をご紹介しました。
さまざまなイメージで少々オカルトチックなイメージが先行してしまう恐山ですが、地獄と極楽になぞらえた唯一無二の絶景が見られる特別な場所です。
恐山は、例年7月20日〜24日に「恐山大祭」、例年10月上旬に「恐山秋詣り」が行われますが、道路は5月1日~10月31日以外は冬季通行止めになります。訪れる際は、閉山期間に注意してくださいね。
- 恐山菩提寺
- 青森県むつ市大字田名部字宇曽利山3-2
- 大人500円/小中学生200円
- 開山:毎年5月1日〜10月31日
- 6:00〜18:00のあいだで開山
- 青森県観光情報サイト
- image by:photoAC
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