岡本太郎も衝撃を受けた。沖縄の何もない聖地「御嶽」の気を体感する
みなさんは、「御嶽(うたき)」ってご存知ですか。御嶽とは、神を祀った聖地のこと。御嶽にはその集落の先祖を祀ったものや、ニライカナイ(海の彼方の理想郷)への遙拝所といったものがあります。
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岡本太郎も衝撃を受けた御嶽「何もないことへの眩暈」
御嶽の中心となる「イベ」と呼ばれる場所には、日本の神社のような建物はなく、石や木などの自然物しかありません。
かの大芸術家・岡本太郎は、約60年前沖縄を訪問した際、御嶽にいたく感動したとのこと。岡本は『沖縄文化論』の中で「何もないことの眩暈(めまい)」と称し、御嶽から受けた衝撃を伝えています。以下はそのくだりです。僕が思うに沖縄の御嶽をもっとも的確に言い表した言葉なので抜粋してみました。
「私を最も感動させたものは、意外にも、まったく何の実体も持っていない-といって差し支えない、御嶽(うたき)だった。御嶽-つまり神の降る聖所である。この神聖な地域は、礼拝所も建っていなければ、神体も偶像も何もない。森の中のちょっとした、何でもない空き地。そこに、うっかりすると見過ごしてしまう粗末な小さな四角の切石が置いてあるだけ。その何もないということの素晴らしさに私は驚嘆した。これは私にとって大きな発見であり、問題であった。」(沖縄文化論、中公文庫、岡本太郎著)
最高の聖地「斎場御嶽」を訪れる
さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回ご紹介するのは、南城市の知念半島にある「斎場御嶽(セーファウタキ)」。
ちなみに。斎場(セーファ)は「霊威の高い聖なる場所」という意味で、斎場御嶽は、琉球王国の創世神「アマミキヨ」が作ったといわれる七大御嶽のうち、最高の聖地と言われています。
ちなみに「琉球王国のグスク及び関連遺産群」という9カ所からなる世界遺産のひとつでもあります(2000年12月にユネスコの「世界遺産条約」に基づく世界遺産リストに登録されました)。
それでは、斎場御嶽の見どころを説明しましょう。
まずは、御門口(うじょーぐち)。ここは、斎場御嶽の入り口で、かつては男子及び一般庶民はこの先へ入ることができずここで参拝したそう。山仕事などでやむを得ず入る場合は女装をして入ったといわれています。