9日間の壮大な祭りに竹富島の血が騒ぐ。600年続く沖縄魂「種子取祭」
今でも人々と神様との距離が近い沖縄では、生活の中のいたるところに神様が存在します。家の中を見回すと、家の守り神と言われる「ヒヌカン(火の神)」や「フールヌカミ(トイレの神)」がおり、集落を歩けば、必ず御嶽があり、昔ながらの伝統的な祭事や神事が今でも大切に執り行われています。
それぞれの島や集落で、脈々と受け継がれる祭祀は、民俗学的にも貴重なものが多く、重要無形文化財の指定を受けるものも少なくありません。
芸能の島で最も盛大な祭「種子取祭」
「芸能の島」と呼ばれる竹富島は、沖縄の島々の中でも特に祭祀が多い島として知られ、島の年間祭事はなんと18もあります。
周囲9.2km、人口わずか350人ほどのこの小さな島で、毎月ひとつかふたつの祭りが催されているとは驚きです。まさに、人々は祭りのために生きていると言っても過言ではない祭りの島なのです。
そんな竹富島で、最も大きな祭りが「種子取祭(たなどぅい)」です。毎年旧暦の9月、10月に巡って来る甲申(キノエサル)の日から壬辰(ミズノエタツ)の日まで9日間にもわたって執り行われる一大祭祀です。
祓い清めた土地に種をまき、無事に育つことを願う五穀豊穣祈願のお祭りで、竹富島では昔は主食としていた粟の種をまくのが特徴だとか。
開催中は、実に様々な儀式が執り行われるのですが、特に2日間にわたり演じられる奉納芸能は祭りのハイライトとも呼べるもの。
各集落が踊り(ブドゥイ)や狂言(キョンギン)を次々と演じます。その数は実に70余り!
演者・奏者はもちろん、小道具や大道具、衣装や舞台セットの準備まで、すべて島人たちの手によって整えられますが、70を超える演目を、しかもたったの2日間で上演するとは、それこそが神業です。
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