ぶつかりあって真冬の海にダイブ。三重の熱すぎる奇祭「ヤーヤ祭り」
日本各地にはさまざまなお祭りがあり、その土地ならではの興味深い歴史や風習を垣間見ることができます。有名な青森「ねぷた祭り」大阪府「岸和田だんじり祭り」などであれば、お祭りを見ることを目的に旅に出る人も多くいますよね。
そんな全国的に有名なお祭りに負けず劣らずアツいお祭りが、真冬の三重県で開催されていることをご存じですか?さっそく、ちょっと変わった名前の「ヤーヤ祭り」について、ご紹介します。
350年以上の伝統の祭り「ヤーヤ祭り」
三重県「尾鷲(おわせ)神社」の大例祭「ヤーヤ祭り」(毎年2月1日から5日)は、一糸まとわぬ男たちが真冬の海に飛び込む奇祭として知られています。豊漁と豊作を祈願するもので、350年以上前から続く古風をいまに伝える貴重な祭りと言われています。
ヤーヤ祭りは、尾鷲神社の例大祭の通称名です。尾鷲神社のHPによると、この呼び名の由来は武士が合戦時に「ヤーヤー我こそは…」と名乗り出たからだとか。由来は武士ですが、現在は一般庶民のお祭りなっていることから、時を経て武家から町衆の祭りに変化していったことがわかります。
例年2月1日に神様のお出ましを願う「扉開きの神事」が行われ、夕刻になって約300人が提灯を手に町内を回る「在回り」でヤーヤ祭りは始まります。
奇祭の見どころは「練り」と「垢離掻き」
2月2日から4日の3日間、旧町20町から3町が毎年輪番で祷務町(とうむちょう)になって祭りを司り、残りの17町が手伝い町として各祷務町に集まり、若衆がぶつかりあう「練り」と呼ばれる行事が行われます。そして、さらにその日ごとの祷務町のところに寄り集まって「大練り」がはじまります。激しくぶつかりあう大練りは迫力満点です。
その後、裸で2月の海に飛び込む「垢離掻き(こおりかき)」と呼ばれる水垢離で身を清めてから尾鷲神社に参拝して、一日を締めくくります。
最終日の2月5日は尾鷲神社まで大名行列で宮上がりをし、夕刻から「大弓の儀」「お獅子のご出御」の儀式を行い、最後に翌年の祷務町に引継ぎの儀式が行われて、祭りは終了です。やはり見どころは、奇祭と呼ばれるゆえんである「練り」と「垢離掻き」の風習ですね。
お祭りなのに誰もいない神社にびっくり
筆者がヤーヤ祭りを見るために尾鷲神社を訪れたのは、2017年2月4日の午後7時半ごろ。境内はただ荘厳な雰囲気を漂わせているだけで、人の姿はなく、祭囃子も聞こえてきません。祭りの日にちを間違えたのかと一瞬心配になったほどです。
若衆がぶつかり合う「練り」は午後7時から各祷屋前で行われるとのことで、人々はみんな街へ出払っていました。それにしても、お祭りなのに境内に夜店ひとつない風景。なかなかシュールな体験でした。