やなこと、全部わすれて。あの日見たかった「海の見える駅」へ
日本全土を網羅するたくさんの線路と駅たち。新幹線から小さなローカル線に至るまで、全国にはおよそ9,500もの駅があります。そのなかには、ホームの景観の美しさから絶景と称される駅が、いくつも存在しているのです。
多忙な毎日に疲れたとき、どんな景色を見たいと思いますか。ときにはローカル線に揺られて、海が見える駅まで旅に出てはみませんか。目の前に広がる青い海に、すっきり心が洗われるはずです。
人々を魅了する日本の鉄道の旅
電車と駅をこよなく愛する鉄道ファンたちは、全国に150〜200万人いるとされています。男性の鉄道ファンを指す「鉄ちゃん」はおなじみですが、近年は鉄道趣味の女子を指す「鉄子」人口もじわじわと増加中。フォトジェニックな駅を訪れたり、鉄道を利用して友人と旅行したり…。彼女たちの存在によって、よりカジュアルな鉄道の楽しみ方が社会に浸透するようになりました。
株式会社JTB総合研究所が20歳以上の男女1万人に行った調査「クルマと鉄道、どう使い分ける?~ドライブ旅行と鉄道旅行の実態と今後の意向調査~」(PDF)によると、過去2年間の旅行で利用した交通手段は車が51.8%、鉄道が40.0%と、車のほうがやや優勢でした。一方で、都市部(東京・名古屋・大阪)に住む人はより鉄道旅行の頻度が高く、またドライブ旅行の頻度が高い人は、同様に鉄道旅行の頻度が高いという結果が出ています。
いずれにしても、日本国内の旅行において鉄道は必要不可欠な交通手段だといえます。
ローカル線で海の絶景に出会う旅へ
インスタグラムをはじめ、SNSで気軽に写真投稿ができるようになった現代。なかには、魅力的な写真を「撮ること」は美しい景色を「見ること」よりプライオリティが高いと考える人も多いようです。
そんなイマドキの旅行者にとって「絶景の駅」はまさに魅力的な旅先なのです。
夏から秋にかけてのいまの時期に行くなら、やっぱり海。今回は、「ホームから美しい海が臨める駅」を全国から12駅選りすぐりました。穏やかな波音と海の香りに包まれたプラットフォーム…。降り立つだけで、気分は映画の主人公。さあ、カメラを片手に、ノスタルジックな鉄道旅へと出かけましょう。
JR釧網本線 北浜(きたはま)駅/北海道
木造の小さな駅舎が可愛らしいJR北海道釧網本線の北浜駅は、「オホーツク海に一番近い駅」として知られています。冬の時期には日本で唯一、車窓から流氷を見ることができる場所でもあります。
北海道のなかでも北側に位置する北浜駅へのアクセスは決して簡単ではありません。しかしながら、その絶景をカメラに収めようと、全国から多くの観光客・写真家が足を運びます。
JR五能線 驫木(とどろき)駅/青森県
本州最北端・青森県に驫木駅はあります。JR東日本五能線の駅で、列車は1日5本の無人駅。目の前には一面に日本海が広がっています。強風などの悪天候のために海上が荒れる時化には、波しぶきが駅内にまで届くそうです。
駅舎は小さな木造小屋ですが日本情緒を醸し出しており、そのロケーションの美しさから「青春18きっぷ」のポスターに使われたことも。それがきっかけで一躍有名となり、鉄道ファンが足を運ぶようになりました。
JR鶴見線 海芝浦(うみしばうら)駅/神奈川県
海芝浦駅はJR東日本鶴見線の駅で、東芝エネルギーシステムズをはじめ工場地帯と隣接していることから、鉄道マニアのみならず、工場夜景好きにも人気のスポットとなっています。
都内からも比較的アクセスしやすいので、他の海が見える駅と比べて気軽に立ち寄れるのも嬉しい点。工場地帯とベイブリッジ、そして夕日のコラボレーションは必見です。都内の仕事帰りに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。