宮沢賢治の童話の世界へ。岩手県の理想郷「イーハトーブ」をめぐる旅
『銀河鉄道の夜』や『注文の多い料理店』、『風の又三郎』など、幻想的でどこか儚い童話の世界を作り出した宮沢賢治。
その故郷である岩手県は、理想郷「イーハトーブ」のモデルとしてさまざまな想像を練った地です。今回は岩手県に点在する宮沢賢治の童話の世界をご紹介していきます。
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウィルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
まずは「宮沢賢治記念館」へ
花巻市には、宮沢賢治を知るために重要な施設があります。それが「宮沢賢治記念館」「宮沢賢治童話村」「宮沢賢治イーハトーブ館」の3つです。この3施設は車で約2分圏内に密集しているため1日で宮沢賢治の童話を深く知ることができます。
数々の名作童話を生み出した宮沢賢治。作品は知っていても「どんな人だったの?」と生い立ちなどを知らないかたも多いはず。
そんな方でも吸い込まれるように見てしまう宮沢賢治の生涯とその世界観の展示が行われているのが、まずご紹介する「宮沢賢治記念館」です。
大前提として、宮沢賢治は作家ではありません。もともとは農学校の教師・農業の研究者として過ごしながら、趣味として童話を製作していました。
数々の有名童話を生み出した宮沢賢治でしたが、生前に本になったのは『注文の多い料理店』ただ一冊だけ。そんな宮沢賢治がどんなものに精通し、どんなイメージで素晴らしい童話の世界を作っていたかを知ることができるのが同館です。
さまざまな専門分野の勉強をいくつも掛け持ちし、深く学び、それを材料に童話の世界を生み出していく天才的人物。同館では、それを証明する膨大な資料に圧倒されること間違いなしです。
ちなみに館内には喫茶店や売店もあり、童話の出版物や宮沢賢治にまつわるお土産などがたくさん置いてあります。
- 宮沢賢治記念館
- 岩手県花巻市矢沢1-1-36
- 大人350円、高大生250円、小中学生150円
- 休館日:12月28日〜1月1日
- 8:30〜17:00
- 公式サイト
「宮沢賢治童話村」で童話の世界に迷い込む
「宮沢賢治記念館」は宮沢賢治自身について学べる施設でしたが、続いての「宮沢賢治童話村」は、作品である童話をメインに扱った施設です。体で童話を体験しながら学ぶ「楽習」がテーマになっています。
まずは駐車場で車を降りた瞬間からすでに、童話『銀河鉄道の夜』の世界が広がります。白鳥の停車場や銀河鉄道をモチーフにした場内トレインも展示。
そしてメインゲートは『銀河鉄道の夜』で、作中に登場するジョバンニとカムパネルラが出発した「銀河ステーション」です。まさにここから童話の世界の旅が始まる、そんな経験ができます。
ステーションを抜けると、広場の登場です。そこから奥に進むと、地面に描かれた星座の海を抜けるゲートがあり、ゲートの先には「賢治の学校」があります。
童話作品の世界の展示内容に圧巻。エントランスを抜けるとなんとも幻想的な世界が広がります。
まずは「ファンタジックホール」。こちらは物語の世界に吸い込まれそうになる不思議な空間です。
展示はそれぞれの世界がトンネルで繋がっていて、抜けるまで次の世界が見えない状態になっています。ドキドキしながら次の部屋へと進みましょう。
ファンタジックホールの先は、宇宙の世界が広がっています。煌びやかで幻想的な空間に思わず声が出てしまうほど。
「風の部屋」や「大地の部屋」、「水の部屋」などがありますが、「大地の部屋」では自分がアリよりも小さなサイズになって昆虫の世界に迷い込んでしまいます。
他にも『セロ弾きのゴーシュ』や『注文の多い料理店』のジオラマ展示などもあるので、いろんな物語の世界に触れることができます。
ちなみに「賢治の学校」の隣には5つのログハウスが並んでいます。ここは「賢治の教室」といって、宮沢賢治が愛した岩手の大自然を学ぶスペースです。
「鳥」「宇宙」「植物」「動物」「石」の部屋に分かれているのですが、筆者の個人的なおすすめは「宇宙の部屋」。綺麗な展示がたくさん並び、その一つひとつが丁寧にパネル解説されているので、思わず読み耽ってしまいます。
- スポット詳細記事
- >>>いざ作品の世界へ!絶景ひろがる「宮沢賢治童話村」でアートな体験を
- 宮沢賢治童話村
- 岩手県花巻市高松26-19
- 賢治の学校:大人350円、高大生250円、小中学生150円(童話村敷地内・賢治の教室は入館料無料)
- 休館日:12月28日〜1月1日
- 8:30〜16:30
- 公式サイト